2024年は「全国的に花粉が増加」「黄砂も要注意」スーパードクターが語る花粉症の最新事情
そろそろユーウツな花粉症の季節。なんでも今年の花粉飛散量もヤバイことになるらしい……。 ▶︎すべての写真を見る 正しく対処するために、まず欠かせないのが情報収集である。
前回に引き続き、花粉治療の名医・石井正則先生に取材を敢行。2回めのテーマは、2024年の花粉最新事情だ。
2024年はスギの狂い咲きに注意
――ずばり、2024年の花粉症事情はどうなりそうですか? 決して油断はできません。なぜなら、昨年の気候を分析すると、「高温・多照・少雨」という翌年の花粉が揃う3条件が揃っており、今年の花粉飛散量はほとんどの地域で過去10年の平均を上回る見込みです。 近畿や東北では特に多くなりそうで、北海道でもシラカバの花粉が飛びそうです。 ちなみに2023年は過去3年間の統計で最大の飛散量となり、多くの患者さんが病院につめかける異常な年でした。今年は昨年よりは少なくなりそうですが、昨年との比較は安全材料にはなりませんので、対策を怠るとひどい症状を引き起こす可能性があります。 ――いつぐらいから気をつけるべきですか? 今年の花粉の飛散の時期は、関東甲信の一部、東海、中国、九州などでは、例年並みの2月上旬から。毎年バレンタインデーを境に症状を訴える人が増えます。 ただ、今年は「スギの狂い咲き」に注意しなくてはなりません。スギの花芽は通常、気温が下がる11月上旬から休眠し、気温が上がる2~3月頃に開花し、花粉を飛散させます。 しかし、2023年の秋は気温が高かったため、一部の雄花が休眠しなかったり、春だと勘違いしたりして、早く咲き始めてしまう狂い咲きが起きている可能性があります。花粉はわずかではあるものの、敏感な人の中には、昨年末や1月初旬に症状が出ている人もいます。今年は1月下旬以降、都内では花粉症の受診が急増しております。
西風に運ばれてくる黄砂にも注意
――黄砂はどうなりそうですか? 不安材料のひとつです。黄砂はゴビ砂漠から舞い上がって風に飛ばされ、中国の工業地帯で硫化物や他の化学物質がこびりつき、やがて日本に舞い降りてきます。この黄砂がスギ花粉を細かく分解させ、喘息や花粉症の症状を悪化させるといわれています。 すでに2023年の11月~12月には、これまでの30年以上の平均値を大きく上回る飛散が記録されています。記録によれば、2023年の11月に4回、12月には7回の飛来が報告されています。これもゴビ砂漠の酷暑や小雨と関連があるようです。 2024年は、偏西風の気象条件によりますが、黄砂の飛散が花粉症の飛散時期に重なる可能性があります。