安全第一が信条……納得の安全装備を搭載したバスだと!? 阿蘇山火口行き路線が極レアすぎた!!
■特殊すぎる運行区間
次に、阿蘇山火口シャトルが走る区間に注目してみる。山上ターミナル~火口バス停までは道筋通りに進んで約1.4km、最初から最後まで平均およそ8%の勾配が続く。 停留所が置かれている駐車場を除いて平坦区間はほとんどなく、坂道しか走らないバスというあたりに、阿蘇山火口シャトルならではの特色が見えてくる。走行区間がすべて有料道路である点もユニーク。 停留所の数は2カ所のみ。乗合バスの中でもとりわけ運行距離が短く、なおかつ停留所の数も最低限な、直行タイプであるのも特徴の一つだ。 運賃は片道700円。全国交通系ICカードは2024年11月16日から使えなくなり、現金もしくはご当地IC系「くまモンのICカード」に対応している。 約1.4kmの距離を5分ほどで結ぶ路線であるが、乗合バスだけれどもタクシーに迫る運賃設定に度肝を抜かれるのは場所柄そういうもの、といった感じか。 また、終点のバス停名は「火口」。火口と名のつく全国のバス停は、噴火口入口(北海道)、新火口展望台(東京都)、火口(熊本県)の3カ所。 しかも「火口」と言い切っているのは阿蘇山のここにしかない。一般名詞を用いた停留所名でありながら、オンリーワンなところが極レアだ。
■意外だけれど必需品
火口シャトルには、全長9mクラスの中型ミドルデッカー車である日野メルファが使われている。定員32名で補助席は付いていない。 利用が極めて旺盛な路線ゆえ、9mクラスの車では荷が重いのではと考えたくなるものの、経路の阿蘇山公園有料道路には長さ9mまでの通行制限があり、ここではメルファが最大サイズになるわけだ。 バスの車内にはハイバックシートが並び、「くまモン」関連の装飾を抜けば、ごく一般的な路線バス仕様のミドルデッカー車といった雰囲気。 とはいえ、乗車して車内をちょっと見上げてみると、普段まずバスに関連付かない意外なものが置かれていてビックリ。黄色い安全帽(ヘルメット)だ。 乗車人数分が荷物棚(ハットラック)を占有する形でズラッと並んでいる様子は異様というか圧巻というか、とにかく都会のバスでは絶対が付きそうな勢いでお目にかかれない珍しさを放つ。 やはり走行区間が活火山ということで、ヘルメットのような道具も必需品と言えそう。もっとも、使う状況にバッティングしないタイミングに訪れるのが望ましいけれど……。