安全第一が信条……納得の安全装備を搭載したバスだと!? 阿蘇山火口行き路線が極レアすぎた!!
熊本県の有名観光地・阿蘇山には、ふもとのJR阿蘇駅から上のほうまでバスで直通できるが、その終点の更に先を目指す風変わりなバスが走っているというのでそれに乗ってみた。 【画像ギャラリー】およそ5分のディープなバス旅~阿蘇山火口シャトル~(13枚) 文・写真:中山修一 (阿蘇山火口行きバスとその周辺の写真付き記事はバスマガジンWebもしくはベストカーWebをご覧ください)
■どうせ来たなら火口まで
JR阿蘇駅を発着している阿蘇山方面へのアクセスバス「阿蘇火口線」の終点が、標高およそ1140mの地点にある「阿蘇山上ターミナル」だ。 ここから110mほど登ると、阿蘇山周辺観光スポットの目玉・火口が現れる。火口周辺は見学用に整備されていて、すぐ近くの駐車場まで自家用車のほかバスを使ってアプローチできる。 バスは1路線のみで、産交バスが運行を受け持つ「阿蘇山火口シャトル」がそれだ。以前は阿蘇山上~火口への公共交通機関にロープウェイが用意されていた。 ところが2016年に阿蘇山が噴火した際、設備が激しく損傷してしまい修理・再開を断念、ロープウェイ休止期間中の代行バスを経て、2020年11月から阿蘇山火口シャトルの運転が始まった。 ロープウェイは廃止となり、2024年現在は遺構もほぼ撤去されている。阿蘇山火口シャトルは鉄道事業法に基づく索道・ロープウェイの代替バスという、他ではあまり聞きなれない役割を担っているわけだ。
■動いている日はラッキー?
火口シャトルは、火口行きが9:00~15:45まで予約便1本・通常便9本、山上ターミナルへ戻る便が9:25~16:15まで10本、合わせて1日20本の設定。 2024年9月に現地へ訪問した際は天気も良く、山上ターミナルの乗り場が物凄く行列していて、積み残し出るんじゃないの?と思いきや、そこはしっかり2台体制の続行運転で対応していた。 並んだ後は、普通の路線バスの要領で火口まで行けたので、便利な移動手段があるのね、くらいの第一印象だった。 ところがこのバス、よくよく素性を探ってみると、前述のロープウェイ代替バスと合わせて、バスとしては中々不思議な要素を隠し持っているようだ。 まず、公共交通機関では半ば常識となっている「いつも何事もなく乗って行ける」が、このバスには大して通用しない点。 場所が活火山の真下なだけに、有害な火山ガスが絶え間なく出ているほか、いつ噴火するか分からない状況まで常に付いて回る。 バスが動くかどうかは、自然のみぞ知る日々の火山活動が握っているわけで、2024年だけでも運休した回数は相当多い。何となく行ってスッと乗れた日のほうが、むしろラッキーかもしれない。