〈来年の株主総会をめざして〉田中優子
3月8日号のこの欄で、「テレビ輝け!市民ネットワーク」https://tv-shine-more.awe.jp/の活動を紹介した。その後6月27日にテレビ朝日の定時株主総会があり、市民ネットワークの株主提案は、ことごとく「反対」とされた。提案は以下の4項目である。 1、政治的な圧力により公正報道が難しい場合に第三者委員会設置・調査・公表する旨定款に定めること。 2、社内の放送番組審議会で是正困難な報道につき第三者委員会調査を定款に定めること。 3、放送番組審議会の委員の任期の是正。 4、社外取締役に前川喜平氏を推薦する。 企業や政治家からさまざまな介入があり得る場合、それを忖度して報道と言えないような報道をし続けるのか、それとも何かあれば第三者委員会に公表してもらうことを後ろ盾にし、ジャーナリストたちが存分に力を発揮して報道するのか。後者の方が働きやすく信頼を得やすいのは明らかだ。 しかし、これらの提案は株主総会に出された時には、意見が付されて全て反対とされた。株主提案がめざすのは、社会的信頼や株価の上昇など、会社のためにおこなう提案である。それを理解していれば、有効な方法であることを認めた上で、実施が困難な理由を述べるのが意見表明のしかたである。しかし同社取締役会は、まるで批判されたかのように、防御的姿勢で答えた。現状維持をモットーとしているのだろうか。そうだとすると、自民党に似ている。 この、実に気の毒なマスコミの状況をまのあたりにして、やはり来年も提案しなければならないと思った。そこで、多くの方にテレビ朝日の株を買っていただきたい。提案は、例年6月後半におこなわれる株主総会の8週間前におこなう必要がある。そして提案者は、株を購入してから6カ月間、保有している必要がある。つまり10月半ばまでに、1単元=100株を購入する。すでに提案に必要な300単元は確保しているが、全体の株の中に占める割合が多い方が、提案の効力はある。 与党政治家たちは政策を考えるより得票と裏金の獲得に日々いそしんでいる。その政治家を選んでいるのは国民で、国民に情報を伝えているのはマスコミなのだ。ジャーナリズムに変わってもらうことは、とても大事なことだ。株をそちらに使おう。
田中優子・『週刊金曜日』編集委員