欧州で熱狂的な人気「ツール・ド・フランス」ってどんなレース?
世界最大の自転車ロードレースとして知られる「第101回ツール・ド・フランス」が7月5日に開幕します。100年以上の歴史を誇る同レースは、知名度、注目度ともに自転車レーストップといえ、欧州を中心に世界中のファンが熱狂するイベントです。しかし約200人の選手が参加し、日程も約3週間かける「ツール」は、自転車レースビギナーにとって仕組みがわかりにくいという声も少なくありません。スポーツチャンネル「J SPORTS」のサイクルロードレース解説でおなじみの栗村修氏(ツアーオブジャパン大会副ディレクター)にツール・ド・フランスの楽しみ方のポイントを聞きました。
23日間かけて「21ステージ」走破
同レースは1903年にスタート。毎年7月に23日間かけて行われ、総距離3000キロ以上を走る長丁場のレース。ツール・ド・フランスはフランス語で「フランス一周」を意味します。ジロ・デ・イタリア(イタリア一周)とブエルタ・ア・エスパーニャ(スペイン一周)と合わせて、「グランツール」と言われます。 レースは23日間のうち、2日間の休養日を除き、「ステージ」と呼ばれる一日単位のレースが21ステージ行われ、ステージごとに優勝者が出ます。一方、第1ステージからの累計タイムも競われ、最も累計タイムの速い選手が「総合優勝者」となります。総合優勝は大変な名誉とされ、自転車レースの人気の高い欧州では国の英雄的扱いを受けます。一方、近年はドーピング問題が長年の課題で、最近では1999年から7連覇したランス・アームストロング(米国)の成績剥奪による「王座空白」が注目されました。 最近のレース設定は、前半ステージに平坦なコースが多く、スプリンターと呼ばれるスピード自慢の選手がステージ優勝を競います。その後、高低差の激しい山岳コースと緩斜面中心の平坦コースを織り交ぜ、このあたりから総合優勝を競う選手が絞られていきます。終盤戦に入り山岳コースが連続し、さらに第20ステージで選手一人ずつが同じコースを走ってタイムを計測する「個人タイムトライアル」が行われるのがパターンです。最終第21ステージはゴールのパリ・シャンゼリゼの凱旋門を見ながら周回する名物コースですが、近年はお祭り的ステージと位置付けられ、総合タイムの順位は大きな事故がない限り、変えないのが慣例のため、事実上、第20ステージ終了時点でトップに立っている選手が総合優勝者となります。