欧州で熱狂的な人気「ツール・ド・フランス」ってどんなレース?
観戦する際のポイントは?
「ツール」ビギナーの観戦ポイントについて、栗村修氏は「200人前後の選手が集団で走るレースは慣れるまで分かりにくいため、最初はピンポイントでお気に入りの選手を決めて見るのがおすすめ。名前で気に入った、ジャージの色がかっこいいでもよいと思います。日本人の新城幸也選手が出る可能性も高いです」と話します。 また、「ツールの映像は最近、空撮に力を入れておりハリウッド映画のスタッフが手がけるといいます。とにかくフランスの美しい大自然や古い城郭などを楽しめ、毎日旅行気分で見るのもよいでしょう。レースに慣れてくれば自転車レースはチームを組んで戦っているなど、細かい面がわかってくると思います」。 現在のレースはスポンサー名を冠した9人編成のチームが約20チーム出場するのが一般的。各チームには総合優勝などを争うエースがおり、ほかのチームメンバーがエースの前を走って風よけをしてエースの体力を温存したり、ラスト数百メートルのスプリント勝負でもエースの前にぎりぎりまでいて、エースのラストスパートを手助けするといった戦いもよく見られます。一方、ステージによってはいきなり飛び出して先行グループを形成し、総合争いのペースを揺さぶるといった駆け引きを指示される選手も出ます。昨年のレースでは総合優勝トップにいた選手が低血糖状態に陥り、チームの同僚選手が下がって栄養物をとりにいき、エースを助けるといったシーンも見られました。 総合一位の選手は「マイヨ・ジョーヌ」と呼ばれる黄色のジャージを着用するのが慣例。このため、レース観戦で総合トップは見つけやすいといえます。また山岳コースの得意な選手のために、山岳ステージにはポイントが振り分けられおり、山岳ポイントトップの選手は白地に赤い水玉ジャージを着ることになっています。
今年は英国からスタート
今年のレースはイギリス・ヨークシャー地方がスタート地点に設定され、前半3ステージは英国で開催。その後フランスを中心に転戦し、第5ステージでは石畳の難コースも設定されました。終盤の山岳コース「ピレネー三連戦」が勝負どころで、第20ステージ個人タイムトライアルまで目を離せません。栗村氏は「第100回は記念大会だったため、フランス国内のみでしたが、観光客を呼べ、街の宣伝効果の高いツールの人気は近年特に高く、フランス国内のみならず、海外からの誘致活動も熱心です。英国は現在自転車が大ブームで今回スタートに設定されたのでは。今後もツールの国際化は続くと思います」と指摘します。 また今年の総合優勝争いについて栗村氏は「昨年の総合優勝者、クリス・フルーム(英国、チーム・スカイ)を本命に見ていたのですが、過去2回ツールを制しているアルベルト・コンタドール(スペイン、チーム・ティンコフ・サクソ)が今年は復調しており、前哨戦のレースではコンタドールがフルームに直接対決で勝つシーンもあって、五分五分の見方に変わりました。昨年ジロ・デ・イタリア優勝のヴィンチェンツォ・ニバリ(イタリア、チーム・アスタナ)も注目です」と予想しています。