涙を流す慶應義塾・加藤 右悟捕手

＜第106回全国高校野球選手権神奈川大会：慶應義塾2-4桐蔭学園＞◇18日◇5回戦◇バッティングパレス相石スタジアムひらつか 【トーナメント表】神奈川大会 結果一覧 　昨夏甲子園王者の慶應義塾が県大会ベスト16で敗戦。試合後の挨拶を終えると、主将の加藤 右悟捕手（3年）は人目をはばからず、大粒の涙を流した。 「1年間『日本一になる』と言って、小宅（雅己 投手・2年）やみんなと頑張ってきたんですけど、日本一になれなかったので悔しいです」 　夏の甲子園連覇を掲げていただけに、加藤は再三にわたって「申し訳ない」と、周囲の期待に応えられなかったことを悔やんだ。計り知れないプレッシャーと戦った中でも、「過程を大切にしながら結果を残さないと認めてもらえない」と語り、最後まで厳しい言葉を口にしていた。 そんな主将の支えとなっていた一人が森林 貴彦監督だ。 「森林さんの元で野球ができたことは、主将としてというよりも人として凄く成長できたので『ありがとう』という気持ちでいっぱいです」 「森林さん」と口にするときは、毎回のように言葉を詰まらせる。それだけ特別な存在だったと言動からも伝わってくる。 「いつも寄り添ってくれて、森林さんに一番恩返ししたかったんですけど……」 指揮官への思いを問われると感情が溢れ、涙をこらえることができなかった。 森林監督も、涙を浮かべながら加藤の活躍を称えている。 「『自分が野球をやってれば楽しい』と見えるような野球少年ですけど、これだけのチームを背負いながらそういう表情でやっていた。うちは主将に任せる部分も多いので、全国で一番大変なキャプテン業を1年間やったんじゃないかなと思う。もちろん成長した部分もあるけど、随分負担もかけたなと。ゆっくりねぎらってあげたいと思います」 話を終えようとした直後、すぐさま言葉を振り絞ってこう話した。 「甲子園に一人で行進させるのが心残りですかね」 聖地へ帰還を果たすことができなかったが、前年度覇者として優勝旗返還を行う加藤の姿も目に焼き付けたいと思う。