「バスが発進しようとしたので、急いで前に詰めたら、鳴らされました。運転手は懲戒処分ですよね?」質問に回答殺到!?「常識外れ」「もう運転やめてくれ」の声も…法律では誰が悪いのか
中には「あなたに罰則ですよ」として、「『子どもが寝ているから急ブレーキは嫌』というのはあなただけの勝手な都合ですし、そもそも急ブレーキしなくて衝突して、子どもがケガしたり死亡したりしたらどうするつもりだったんですか?バスの運転士やお客さんがケガしたり亡くなったらどうするつもりだったんですか?」とコメント。 そのうえで「衝突することより寝ている子どもを起こしてしまうことのほうがリスキーだという判断をするあなたの思考が理解出来ません」と断じています。 また「バスはすでに動いているところを、(前方不注意で)急ブレーキになるのがいやと書いているように思えます。前が詰まって居たら進路妨害になるから後ろで止まらなければならないと考えて運転する場所なのです」として、投稿者に対し「それができず、ヒステリ起こしてバス会社に電話する非常識なのでしたら、免許返納されてはいかがですか?お子様が怪我や亡くなってからでは遅いです」と求めています。 ほかにも「バスの急ブレーキで、車内がどうなったか想像していますか? それで転倒して骨折したお年寄りが寝たきりになっているかもしれませんよ」「下手するとバス会社から質問者様に対して発進妨害したと逆に訴えられる案件です」「そんなひどい運転手がいるから、日本はダメになっていくんです。深く反省するとともに、バス会社に謝罪に行ってください」「言語道断。以ての外。常識はずれ。もうあなたは、クルマの運転をやめてくれ」といった声があります。
実際、法律ではどういうルールになっている?
では、具体的に交通ルールとして、どういった点が問題なのでしょうか。実は「乗合自動車発進妨害違反」という明確な違反項目があるのです。
道路交通法第31条2項には以下のようにあります。 「停留所において乗客の乗降のため停車していた乗合自動車が、発進するため進路を変更しようとして手または方向指示器により合図をした場合においては、その後方にある車両は、その速度または方向を急に変更しなければならないこととなる場合を除き、当該合図をした乗合自動車の進路の変更を妨げてはならない」 バスがバス停を出発しようとしてウインカーを出していたら、その進路変更(本線合流)を妨げてはいけないのです。 つまりバスに対して「待て待て!今こっちが先に行くから出てくるな!」と突っ込んでいった場合、この違反に問われる場合があります。 取締りを受けると、違反点数1点、反則金6000円が科されます。 このルールはあまり知られていないようで、過去の取材でも、とある現役のバス運転士は「バスの目の前ギリギリに割込んで来たり、対向車がバスの直前で右折してきたり、停留所から発車しているバスに対してクラクションを鳴らしながら通過するクルマがいます。バスは急ブレーキを踏まざるを得ません」と話します。 東京都の警視庁もポスターで「路線バスの発進妨害!危険です!違反です!」と呼び掛けています。 ※ ※ ※ このように、発車しようとしているバスの進路を妨害する行為は、確かにルール違反です。いっぽうで今回の質問の投稿者はどちらかといえば、最初は罪悪感を感じつつも「他人から怒りをぶつけられた」という事実が脳を上書きして、心身が「被害者モード」に陥ってしまっている性向も見受けられます。 いったん被害者モードに切り替わって「何が何でも相手のほうが悪い」の思考に凝り固まってしまうと、今回に限らずあらゆる社会的摩擦の場面で、自分の立場だけしか視野に入らなくなってしまいます。そうなると道路上でも頻繁にトラブルを引き起こしがちなので、注意すべきかもしれません。 回答にも「子どもをダシにして酷い運転を正当化しようとしているだけじゃん」など、客観視ができていないことを看破されている様子がうかがえます。 安全運転は「心の余裕があるか」が重要です。プライベートの時間ならともかく、公道上ではバスに先に行かれても気にしない心、クラクションを鳴らされても動じない心、多少の理不尽な体験をしても大逆上しない心を常に持つようにしましょう。
くるまのニュース編集部