ボーイズラブの傑作『ふったらどしゃぶり』実写ドラマW主演の伊藤あさひ&武藤潤、作品への想いを語る「美しさ、繊細さは大事にしなきゃいけない」
大人の愛と性に迫った一穂ミチのボーイズラブの代表作『ふったらどしゃぶり When it rains,it pours』が2025年1月9日よりMBSドラマ特区枠(MBS:24:59~/tvk:23:30~)で実写ドラマ化が決定。W主演の二人、半井整役・伊藤あさひと、萩原一顕役の武藤潤(原因は自分にある。)にインタビュー。作品についての想い、役作り、お互いの関係性、ドラマの見どころになどについて話を聞いた。 【写真】武藤潤が伊藤あさひをバックハグするドキドキのショット ■伊藤あさひ×武藤潤インタビュー ――事前に台本を読ませていただいたのですが、心理描写も細やかで、情景描写も美しい印象を受けました。この作品に出演することが決定し、台本に触れた感想を聞かせてください。 【武藤】「一人の人間を愛することによって、自分がどんどん翻弄されていく様が、鮮明に描かれている原作だったので、リアリティを乗せて視聴者の皆さんに伝えることができたらいいなと思いました」 【伊藤】「原作小説も読ませていただいたのですが、登場人物の心理描写や情景描写がすごく綺麗だったので、映像作品にすることでもっともっと綺麗に皆さんにお伝えできるんじゃないかなと思って楽しみにしていました。同じような悩みがあったり、寂しさを抱えている孤独な人にも寄り添える作品になっていると思います」 ――お二人が演じたキャラクターについて、共感できた部分と、自分とはちょっと違うなと感じた部分を教えて下さい。 【武藤】「一顕のまっすぐで素直なところは共感できます。僕も思ったことを口に出す時もあれば、周りの環境が変わると上手く伝えられなくて、自分の中で考えこむことも多かったりするし。逆に僕はメールのやり取りが続かないタイプなんですよ。そこはちょっと違っていて、“一顕すごいな”って思います」 【伊藤】「メールが全然返ってこなかったです」 【武藤】「すみません(笑)」 【伊藤】「僕は最初、整がどういうキャラクターなのか掴めなかったんですが、実際に演じてみると、好きな人には甘えたり、ちょっと試したりするようなところがあって、僕もどちらかといえば先輩とかに甘えがちなタイプなので、そういう部分は共感できました。本を読んだ時には、寂しさを抱えていたり、ふとした時に孤独を感じる瞬間は、人間みんなそういう時あるよなぁと気付かされたので、そこを繊細に表現できたらと思いました」 ――今回、ボーイズラブを描く作品ですが、演じるうえで意識したことや、大切にしたことがあれば教えてください。 【伊藤】「本作は愛という部分にフォーカスしていると思います。男同士ということをあまり考えすぎずに、二人の中で作っていけたらと撮影前から思っていました。ベッドシーンもあるので、お互いに気を遣い合う綺麗さや美しさを意識すれば、もっといろいろな方に見ていただける機会が増えると思っています。『美しさ・綺麗さ・繊細さ』はこの作品で大事にしなきゃいけないと思って演じています」 【武藤】「“ボーイズラブだから”ということで特別に意識したことはなくて、男性、女性問わず、人間として一人の人を愛して自分自身が変わっていく様を、共感できるテーマの一つとして取り上げたいと思っていたので、一人一人の人間関係を監督と話し合いながら、距離感はどんな感じなのかについて意識しながら撮影に臨みました」 ――お互いの印象はいかがですか? 【伊藤】「一顕にすごくぴったりな方だなと思いました。ちょっとほっておけない感じとか。整と一顕の間で力関係が明確にあるんです。一顕が『見なし敬語』を使ってきたり、こちらは言いたいことをバシッと言って、疑問に思ったことを直接的に聞いて一顕をうろたえさせたり。そういうシーンを自然に演じられる関係性が、最初にお会いしたときから、自然に二人の間で流れそうだなっていう感覚がありました」 【武藤】「頼もしかったです! 脚本を読んでいるだけだと、整って何を考えてるのか分からないイメージがあったんですが、初めて一緒のシーンを演じたとき、あさひさんが整を演じることによって、その瞬間に“本当に整がいた!”と感じたんです。整のセリフを受けて芝居させてもらえる状況になれたので、すごく楽しかったです」 ――普段の二人もそういう関係性になっているんですか? 【武藤】「そうですね。“弁当取りに行こう!”とか、ご飯を食べるタイミングをリードしてくれたりします。お兄ちゃん的な感じですごく優しいですね」 ――武藤さんは整という人物について、あさひさんは一顕についてどう感じていますか? 【武藤】「普通に会話していたら急にとんでもないことを出してくる感じが僕はすごく好きです。何を考えているのか知りたくなるというか、沼にハマってしまう状況を作り出せる整は不思議な男だなと。一顕があのようになってしまう気持ちもわかりますし、本当に日常にいたら友達になりたくなると思います。どんどん話しかけたいとか、気にかけたくなるのは、整が持っている要素なのかなと思います」 【伊藤】「一顕は、男性としてはすごく共感しやすいキャラクターだと思います。めっちゃいいヤツなので、いろんな人に愛されるだろうなと思いましたし。だからこそ、自分の一番大切な人に拒絶されているというところは、僕も読んでいて心が痛くなりました」 ――役を演じる上で、仕草や表情の作り方などでこだわった部分はありますか? 【武藤】「僕はこれまで多くの舞台に出演させていただいているのですが、これだけ長くドラマに出演させていただけるのは初めてなんです。舞台で得たお芝居と、ドラマで必要とされているお芝居はやはり違っているので、細かいニュアンスについて監督さんと相談しながら、よりリアリティのある、自然体でいられるお芝居を意識しています。一顕は会社にいる時、かおりといる時、整といる時といろんな面を持っていると思うので、その違いを見せられたらと思っています」 【伊藤】「整の本当に大切な人はもう一人の(幼馴染の)和章なので、彼といる時、彼以外といる時の違いは大事にしています。同居している和章に対しては、顔色も伺うし、嫌われたくないという気持ちがあるけれど、逆に他ではもっと素で、何を思われてもいいという感じでいる。その対比を出そうと思って演じています。あとはセリフの言い方をマイルドに、普段話している感覚に近い状態にしています。セリフっぽいセリフにならないようにしつつ、伝えたいことは伝えるということを意識しています。加えて整は人の気持ちや顔色を伺わない性格なので、無言の間で、一顕の気を惹いたり、気まずくさせる人物だと思っていて。整は相手をうろたえさせる場面がないといけないなと思って、意識してやっています」 ――撮影中で印象に残っているエピソードを教えていただけますか? 【伊藤】「海沿いのシーンの撮影をした時、初めて一緒に写真を撮りましたよね。すごく夕日が綺麗でした。でも、まだ僕が一顕を突き放すシーンしかやってないんですよ。突き放すシーンは狙ったようにめちゃめちゃ晴れていて、仲が深まるシーンは大体雨なのは、この作品ならではなのかなって、面白いなと思いました」 【武藤】「今、突き放された状態で止まってるので、早く楽しいシーンをやりたいって思ってます。写真もいっぱい撮り合ったりできたらいいなって思います!」 ――最後に、W主演に対する想いと、このドラマの見どころについて教えて下さい。 【武藤】「原作があって、僕を通して実写として皆さんに見てもらうので緊張していますが、僕自身、原作を読んで辛い気持ちにはなりましたけど、読み終わった後にちょっと大人になれたのかなという気持ちもあるので、同じ感覚を見ている皆さんにも伝えられたらと思っています。何より感動してもらえる作品を、チーム一丸となって頑張って作り上げたいと思っています」 【伊藤】「今回は責任もある役どころですし、二人で絶対にいいものを作っていかなければと、気合いを入れて挑んでいます。ただし、主演だからとグッと力むのではなくて、表現も自由に、体も自由に二人でやっていけたらいい作品になるのかなと思いながら、スタッフの方々と共に頑張っています」 ●伊藤あさひ/ヘアメイク:沼田真実(ilumini.)、スタイリスト:ダヨシ ●武藤潤/ヘアメイク:なかじぃ(KIND)、スタイリスト:辻本紅葉 【プロフィール】 ●伊藤あさひ/半井整(なからい・せい)役 2018年放送の『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』でルパンレッドを演じ、近年では2023年に日曜劇場『下剋上球児』、2024年に日本テレビ土ドラ10『潜入兄妹特殊詐欺特命捜査官』に出演。2025年4月よりミュージカル『1789バスティーユの恋人たち』への出演が控える。 ●武藤潤/萩原一顕(はぎわら・かずあき)役 7人組ダンス&ボーカルグループ「原因は自分にある。」のメンバー。舞台『FINAL FANTASY BRAVE EXVIUS 幻影戦争 THE STAGE』、今年公開の映画『BATTLEKING!! Map of The Mind序奏・終奏』出演など、ドラマ・映画・ミュージカルと俳優としても幅広く活躍中。 ■ドラマ特区『ふったらどしゃぶり』 2025年1月9日(木)テレビ神奈川:23時30分、MBS:24時59分~他にて初回放送スタート 出演:伊藤あさひ/武藤潤(原因は自分にある。)/秋田汐梨/松本大輝 ほか 監督:高橋名月/富田未来 脚本:開真理 音楽:坂本秀一 制作プロダクション:ホリプロ 製作:「ふったらどしゃぶり」製作委員会・MBS 【あらすじ】 家電メーカーの営業部で働く、萩原一顕(武藤潤)は、同棲中の彼女・水谷かおりとのセックスレスに悩んでいた。ある日、会社で同期会の幹事を任され、店の候補を自分宛にメールしたつもりが、誤って“誰か"に送ってしまう。届いた相手は、一顕と同じ会社の総務部で働く同期の半井整(伊藤あさひ)だった――。 連絡を取り合っている相手が同僚だと知る由もなく…「顔も名前も知らない赤の他人」だと思い込む二人は、いつしか本音を話せる不思議な関係になっていく。「愛する人と繋がりたい…」一顕と同様に、整も同居相手との関係に悩んでおり、幼馴染・藤澤和章にやり場のない感情を抱いていた。 「好きだから抱き合いたい、抱いてほしい…」一件のメールから共有した秘密は、やがて心の容量を超えて溢れ出し…。 報われない愛と性に翻弄される大人の恋が動き出す―