【フジテレビプロデューサーへインタビュー】 知られざる、メディアの“裏側”…情報の取捨選択時に心がけている「たった1つのこと」
多くの視聴者を抱え、その広告効果も絶大である「テレビ」。企業の広報担当者にとって、重要な広告媒体となるでしょう。では、テレビ局サイドからは企業の広報担当者にどのようなことを期待しているのでしょうか? 本記事では、広報コンサルタントの三上毅一氏の著書『広報のプロが教えるメディアのトリセツ』(中央経済社)から、フジテレビジョン・ニュース総局報道局報道センター部長職プロデューサーへのインタビューより紐解いていきます。 【早見表】年収別「会社員の手取り額」
フジテレビが広報・PRに求めるものとは?
フジテレビジョン ニュース総局報道局報道センター部長職プロデューサー 清水 俊宏(しみず・としひろ) PROFILE 株式会社フジテレビジョン ニュース総局報道局報道センター部長職プロデューサー兼ビジネス推進局コンテンツビジネスセンター プラットフォーム事業部。 2002年フジテレビ入社。記者、ディレクター、報道番組プロデューサーなどを経て、テレビニュースのデジタル化や新規事業開発の担当に。 「FNNプライムオンライン」「フジテレビュー!!」などオンラインメディアを創設したほか、経済系YouTube番組『#シゴトズキ』をMC兼プロデューサーとして立ち上げ、大企業幹部やスタートアップCEO、タレントなど多彩なゲストから「仕事に役立つ思考法」を聞き出している。 広報・PRに関するセミナー登壇も多数。 2023年7月より平日夜のニュース番組『FNN LIVE NEWS α』のチーフプロデューサーに就任。 インタビュアー:著者 質問1:個人・編集部・番組としてどんな情報を求めていますか。 「掛け算すると面白い情報」への感度は高く、と常に心がけています。地上波やネットなどさまざまな番組やメディアを担当しているため、ニュース、エンタメ、テクノロジーなどあらゆる分野の新しい情報を求めています。 そうは言っても、超大量に情報が溢れる社会の中で、すべての情報を受け取って処理することはもちろん不可能です。「すべて」は無理だとしても「幅広く」。そこで自らの情報取得のフィルターをかける時に心がけているのが、トレンドとタイミングとの掛け算です。 例えば、「宇宙」「AI」といった情報は日常生活から遠く感じられるため、番組担当者からは敬遠されがちです。しかし、現在のトレンドとしては絶対に抑えておいたほうがよい。それが、「夏休みの」「受験勉強の」「母の日の」といったニュースにしたいタイミングにぴったりはまる内容であれば、新しい情報発信の形が模索できる可能性があります。 広報・PR担当の皆さんが「まずはメディアを知ることから」と考えているように、我々メディアは「まずは視聴者やユーザーを知ることから」始めています。ユーザーの欲しがっている情報を考えたうえで、さらに新たな発見につながるような「独自の視点」を付加したいと考えています。「視聴者が(潜在的にも)知りたい情報」×「新しい独自の視点」がどこかにないかなと、いつもアンテナを張っています。 質問2:社内での企画の通り方について教えてください。 番組によってまちまちではありますが、 情報取得→企画会議で検討→プロデューサーが最終判断 という形が多いです。ただ、私がMC兼プロデューサーを務めるYouTube番組『#シゴトズキ』に関して言うと、ゲストや内容の多様性を担保するために、プロデューサーである私は責任だけを負うことにして、最終決定権は編集メンバーに任せています。 責任はあるので拒否権や修正提案権はありますが、私が提案した企画が通らないことも多々あります。