近年多発している豪雨。降雨パターンの変化は温暖化と大気汚染が原因みたい
将来の降水量は温暖化よりも大気汚染が鍵
ところが興味深いことに、今後は温暖化以外の要素が日本の降水量の鍵になる場合があるみたいです。国立環境研究所が7月に発表した、日本の降雨量の将来予測は、温暖化に加えて大気汚染物質の排出変化に伴う日射量の変化も考慮に入れて分析を行なっています。 結果を見ると、産業革命前比で温暖化を2度未満に抑えるシナリオでは、東アジアからの大気汚染物質排出量が急減することから日射量が増え、それに伴って地表から蒸発する水分も増えるため、日本の降水量が増加するそうです。特に今世紀半ば過ぎまで、他のシナリオよりもその傾向が強くなっています。 つまり、国際的な温暖化対策が野心的になればなるほど、21世紀半ば頃までの日本の降水量増加は極端化するというわけです。しかし、今世紀後半の降水量増加は、どのシナリオでも同じくらいになるようです。 気温上昇も大気汚染も抑えたいけど、豪雨が極端化するのも怖い。それでも、地域によっては一時的に温暖化対策からマイナスの影響を受けるとしても、長期的には温暖化対策を最速で実行する方が、世界全体への負の影響は小さくなると考えられます。 Source: Zhang et al. 2024 / Science, scimex, 国立環境研究所(1, 2), 気象庁, Hayashi et al. 2024 / SOLA
Kenji P. Miyajima