【虎番リポート】悩む森木に石井が“助け舟” いつか見たい「大智」リレー 秋季C初日にキャッチボール
阪神秋季キャンプ初日の今月1日。石井と森木というキャッチボールの組み合わせに「珍しいな」と感じた。主戦場が甲子園と鳴尾浜に分かれ、今季ほとんど関わりのなかった2人。どのような経緯だったのか森木に聞くと、うれしそうに答えてくれた。「ペアの相手がいなくて困っていたら、(石井)大智さんが“相手いるの?”と声をかけてくださったんです」。しかし、6歳上の右腕が声をかけた理由は“相手探し”だけではなかった。石井が明かす。 「(21年のドラフト)1位で入団して、あれだけのポテンシャルを持っているのに凄くもったいない。自分も経験がまだまだ足りないけど、技術の引き出しの一つとして何か提供できたら」 悩める後輩に助け舟を出したかった。森木は昨年以降、投球フォームの変更を機に制球難に陥った。今季のウエスタン・リーグでは20回2/3を投げて防御率11・32。投球回を上回る27四球と乱調が続き、来季から育成契約となった。自他ともに認める“筋肉好き”の森木は、体の知識は豊富。しかし、その知識を投球の向上につなげられずにいる姿が、もどかしかった。 「知識も大事だけど、それだけではいけない。インとアウト(コース)、高さも投げ分けてカウントを取りたい時に取る。マウンドでの基本をクリアしないと、相手を抑えるための思考にはたどり着けない」 石井も先輩との練習で飛躍のきっかけをつかんだ。1年目から1軍で活躍していたが、2年目の22年に岩崎とのキャッチボールで衝撃を受けた。「構え方から違う。中腰の状態の岩崎さんにどれだけ強い球を投げられるか、それがとても難しかった」。相手が腰を落とさず構える通常のキャッチボールと違い、体の使い方が正しくないと強く投げられない。練習から投げ方を見直し、勝ちパターンを担うまで成長した。 この日の鳴尾浜でも、入念にフォームを確認しながらキャッチボールに励む森木の姿があった。くしくも、2人の名前は同じ「大智」。石井を兄貴と呼んで慕う森木が先発してバトンをつなぐ、「大智リレー」を見てみたい。(杉原 瑠夏)