ホンダはどこに向かう? モータースポーツのこれまでとこれから
――スーパーGTはNSXからシビックに切り替えることで空力特性が大きく変わったと聞きました。開発面では相当なチャレンジがあったのでしょうか? 遠藤さん:そうですね。NSXはミッドシップというレイアウトもあって車体形状が低く、空気の取り入れ口が大きい分、ドラッグ(空気抵抗)も大きくなりがちでした。一方でシビックは、4ドアでシルエットが違いますから、ドラッグが抑えられる代わりにダウンフォースをどう確保するかが課題でした。実際、風洞実験のための時間を増やすためにチーム同士で調整し合ったり、何度もシミュレーションとすり合わせが必要でした。それでも、初年度で総合2位に入れたのは大きな成果だったと思います。 ■電動化とモータースポーツの関係 ――世界的にクルマの電動化が進むなかで、ホンダも電動化に舵を切ることを公表しています。ホンダとしては今後、モータースポーツにどのように取り組んでいく予定でしょうか? 遠藤さん:モータースポーツそのものが電動化の道を選ぶ方向で動いているので、それに追随する形になると思います。例えばアメリカのインディカーやIMSAでは、すでにハイブリッドが導入されています。ただ、日本ではコストや商業的な課題があって、導入を急ぐのは難しい面もあります。それでも、トレンドとしては電動化の方向に進むでしょうし、F1では2026年からエンジンとモーターの出力がほぼ半々になるレギュレーションが採用される見込みです。MGU-Hが廃止される代わりにバッテリーとモーターの出力が高まるので、エネルギーマネジメントの重要性はさらに増しますね。 ――2026年に向けてはアストンマーティンとのワークス体制も発表されていますよね。レッドブルとの関係はどうなるのでしょうか? 遠藤さん:2025年までレッドブルとの協力関係は続きます。これまでの取り組みでドライバーズタイトルを獲得した実績もありますし、彼らも大きく貢献してくれました。ですので最後の年となる2025年は、今までの歩みをファンの皆さんと一緒に振り返るような発信をSNSなどで考えています。そのうえで、2026年からはアストンマーティンとワークスパートナーシップを組んで、新しいチャレンジに臨むことになります。