【兵庫県知事選】争点は“パワハラ疑惑”“公益通報”対応への是非 自民・維新は一枚岩になりきれず…重みを増す「清き一票」の行方
■自民・公明「自主投票」、維新「公認・推薦せず」の背景
取材を進める神戸支局の神田貴央記者が、知事選をめぐるポイントを解説します。 一連の問題をめぐっては、職員への“パワハラ”だけでなく、去年の阪神・オリックスの優勝パレードの“資金還流”など、様々な疑惑が告発されました。 斎藤前知事は「合理的な指摘、必要な指導だった」「告発文は誹謗中傷性が高く適切な対応だった」との主張を繰り返しましたが、県議会の全会派・全議員が不信任決議案に賛成して可決し、斎藤前知事は9月30日に失職しました。一連の疑惑への検証については、百条委員会や第三者委員会で調査が続いています。
県議会としては「不信任決議案」を突きつけたので、「斎藤前知事以外の候補を何としても勝たせたい」というところではあるのですが、前回の知事選で斎藤氏を推薦した「自民」と「維新」は今回、どの候補も推薦をしていません。 中でも、疑惑を追及する百条委員会の設置や不信任決議案の提出を主導した最大会派・自民は、独自候補の擁立を断念し、「斎藤前知事の支援を禁止」という条件付きでの「自主投票」を決めました。 なぜ自民は独自候補を擁立して推薦をできなかったのか、その背景にはまさに「万策尽きた」といった状況がありました。
知事選の構図は前知事に新人6人が対決する状況になっていますが、いわゆる“反斎藤”の立場で、早くからいろいろな候補が立候補を表明していました。 その状況下で、自民が知名度・実力が中途半端な候補を立たせてしまうと、“反斎藤”の票が分散をしてしまう、その結果、共倒れとなって斎藤前知事が勝利してしまうのではないか、という懸念がありました。 さらに、最大会派である自民の候補が立候補して、仮に落選してしまうと自分たちのメンツも丸潰れとなってしまうということで、独自候補は断念せざるを得なくなったとみられています。
一部の自民県議の中には、稲村氏を支援する動きもありますが、「稲村氏は自分たちとイデオロギーや政策の考え方が違う。そういった方を勝つためだけに支援するのはどうなのか」といった意見もあったということです。 稲村氏は無所属ではあるものの、第4会派である立憲民主系の「ひょうご県民連合」の県議も支援に回っていて、そういった候補が知事になって実績を出してしまうと、次は自分たちの議席も危うくなってしまうのではないかという懸念もあり、兵庫自民としてまとまることができなかったということです。 第3会派の「公明」も、自民と同様、独自候補は擁立せずに自主投票を決めています。