認知症基本計画を政府決定 認知症の人が希望持ち自分らしく暮らせる社会へ
認知症について、政府が取り組むべき政策の基になる「基本計画」が閣議決定されました。認知症になっても希望を持って自分らしく暮らすことができる社会にするため、国が取り組む施策が盛り込まれました。 3日に政府が閣議決定した「認知症施策推進基本計画」は、2024年1月に施行された「認知症の人を含めた共生社会の実現を推進するための基本法」に基づいて、国が行うべき施策を盛り込んだものです。この「基本計画」を作る政府の会議には、有識者や認知症の研究者のほか、認知症の人が正式に委員として加わって意見を述べ、役割を果たしたのが大きな特徴です。 「基本計画」はまず、共生社会の実現を目指すと掲げ、認知症の人本人の声を尊重し、「新しい認知症観」に基づき施策を推進する、と明記されています。「新しい認知症観」とは、誰もが認知症になり得ることを前提に、国民一人一人が自分ごととして認知症について理解し、認知症の人には個人としてできること・やりたいことがあり、住み慣れた地域で仲間とともに、希望を持って自分らしく暮らすことができる、と定義しました。なお、この「暮らすことができる」という「前向きな表現」(国の担当者)は、認知症当事者の委員の意見を反映したものだということです。
■国が行うべき12の施策とは?
そして、国が行う基本的施策として12項目を定め、国民の理解、バリアフリー、社会参加、意思決定支援・権利擁護、保健医療・福祉、相談体制、研究、予防、調査、多様な主体の連携、地方公共団体への支援、国際協力を挙げました。 「基本計画」は、2029年度までの約5年間を第一期と定め、達成すべき重点目標として、「新しい認知症観」の理解、認知症の人の意思の尊重などを挙げ、具体的な指標を設けて目標の進み具合をはかるとしています。ただし、まだ指標はなく、どこを起点として効果を評価するのかも決まっていないということです。厚労省の担当者は今後、指標を作り、どういう形で評価、分析するかなども検討していくと説明していて、大きな課題が残っています。