ニュース要約サービスの未来は明るいか?
今年4月、米ヤフーが自動ニュース要約サービスのSummly(サムリー)を3000万ドルで買収したことが伝えられました。6月になって、国産のニュース収集アプリのvingow(ビンゴー)が日本語に対応した要約サービスを始めるなど、ニュースの要約機能がにわかに注目されています。時間の節約につながるとても便利なサービスですが、これが一般化すると私たちにどんな影響を与えることになるのでしょうか?
注目される背景
Summlyは、アメリカに住む15歳の少年が開発したサービスを大企業が買収したとあって話題性も高く、ネットのニュース界隈で話題になりました。Summlyのウェブページをのぞくと「スマートフォン時代において最適な長さの文章を提供する」と事業の目的が書かれています。vingowは「ニュースを『探す時間』も『読む時間』ももったいない。そんなあなたにとって最高のツール」だとうたっており、両者の主張からは、スマートフォン時代において、限られた時間を効率良く使う過程から生まれてきたサービスだということが読み取れます。 人に与えられた時間は、皆に等しく24時間です。情報化社会において情報を摂取することは、食物を摂取するにも等しいくらい大切な生活習慣になっています。この限りのある時間において、無限にも近い膨大な量のニュースをすべて読むわけにはいきません。そのため、自分に関心のあるニュースを効率的に読みたいというニーズが常にありました。 効率的に読むべきニュースを選択する方法として、ソーシャルフィルタリングとかキュレーションと呼ばれる「おすすめサービス」が注目されてきました。このあたりのニーズには、ツイッターやフェイスブックをはじめ、さらに機能を特化したGunosy(グノシー)、feedly(フィードリー)といったアプリが対応してきました。 しかし、堀江貴文氏が「ニュース長すぎ。たとえば新聞も長すぎ(中略)ネット時代は長くて400文字」(BLOGOS、2013年05月01日)と不満を述べるように、おすすめのニュースが届いても「とても全文を読む時間がない。簡単に教えて欲しい」という新たなニーズが要約サービスを求め始めたと言えるでしょう。 先駆け的には、2012年10月からライブドア・ニュースが「ざっくり言うと」という、どんなに長い記事でも3行100文字程度に要約してくれるサービスを始めていました。そうすることで、自分に興味があるニュースかどうかを早く判断できるようになるのです。 ただ、Summlyやvingowが「ざっくり言うと」と違うのは、人手ではなく機械で要約をすることです。どんな記事でも機械で要約できれば時間が節約でき、便利であることには違いがありません。こうした汎用的な技術に期待が寄せられているのです。