私たちに与える影響

サービスの基本は、自分ができることできないことを人にやってもらうというところにあります。このサービスを利用するということは、読解力や大意要約などのスキルを機械にあずける代わりに時間を提供してもらうという取引です。 あまりに頼りすぎるならば、私たちから長文を読む読解力や思考力を奪っていくことになりかねません。文章が伝えている論拠やニュアンスといった詳細が抜け落ち、表面的な理解しかできなくなる恐れがあります。 欲しいものが努力しなくてもすぐに手に入る世の中を「インスタント社会」と呼ぶことがあります。ニュース要約もインスタントな社会を構成する一つの象徴です。 アメリカのジャーナリストであるニコラス・G・カーは、『ネット・バカ　インターネットがわたしたちの脳にしていること』（青土社）で、ネットという道具が注意力を散漫にし、「かつては当たり前にできていた深い読みが、いまでは苦労をともなうものになっている」と指摘しています。 文章に対する集中力だけであれば誰にも迷惑をかけませんが、人の話にじっくりと耳を傾ける集中力まで奪うとしたら、円滑な対人的コミュニケーションに影響を与えることも考えられるでしょう。