危険と隣り合わせ!?時に沈む橋「潜水橋」 老朽化や転落…命を守るために知っておくべき知識や備え
欄干もガードレールもない細い橋、「潜水橋」を渡った経験があるだろうか?一歩間違えば転落し、命を落とす危険もある橋だが、地元住民にとっては、なくてはならない生活道路でもある。なぜ「潜水橋」には欄干がないのか。そこには、先人たちの知恵があった。 今にも川に落ちそう?車の中から見た潜水橋を画像で見る 宮崎県には市町村が管理する「潜水橋」が24本ある。延岡市が9本で最も多く、西都市や門川町など8つの市と町にある潜水橋。便利である一方、危険も潜んでいる。
そもそも「潜水橋」って何?
「潜水橋」とは、欄干がなく、川が増水した際には水中に沈む橋のことだ。そのため、「沈下橋(ちんかばし)」「もぐり橋」「沈み橋」などとも呼ばれている。欄干がないのは、川に沈んだ際に流木などが引っかかることを避けるため、また、大量の水を受け流せるため、壊れにくい。また、水が引いた後も早く橋を渡ることができるといったメリットがある。 「潜水橋」に欄干がないのには理由があり、先人たちの生活の知恵によって作られたのである。
「観光資源にもなっている潜水橋」
潜水橋で有名なのが高知県の四万十市だ。 四万十川財団によると、四万十川流域には60以上の潜水橋があり、四万十市の観光資源にもなっている。そのほとんどが、昭和30年代以降に架けられており、流域の交通手段が筏や高瀬舟などの水運から、車・トラックなどの陸路に変わったことが大きく関係しているそうだ。 高度経済成長期を迎え、インフラ整備が急がれる中、橋脚が低く、欄干がない潜水橋は建設費を低く抑えることができたため、高知県の河川では多く採用された。
転落などの危険な側面も…
便利である一方、欄干がないことで危険な側面もある。 宮崎県西都市では、4月23日、軽乗用車が潜水橋から川に転落し、運転していた63歳の男性が死亡した。 「欄干がない」という橋の特性上、抜本的な対策を行うことが難しい反面、地域の住民には欠かせない生活道路となっている潜水橋。管理する市町村も難しさを感じている。 西都市の千田(ちだ)潜水橋では、「区画線を引く」「夜間は照明の点灯」などの事故防止対策を行っている。さらに今回の事故を受けて、赤白のポールの設置を検討するそうだ。 潜水橋の危険性を理解したうえで、運転者も十分な注意を払う必要がある。