「プロジェクト学習」で生徒のやる気を引き出すコツ
「アクセス」本人にとって無理のない“段取り”を!
生徒に提案するプロジェクト内容やイベントなど、参加する上での物理的な距離もそうですが、「どういう“ 段取り” をすると辿り着けるのか?」を必要に応じて示してあげられるかは教員の腕の見せ所だと思います。 全工程をざっくり複数のステップに切り分けて(私も未経験すぎるプロジェクトは有識者に力も借りつつ手探りでステップを切り分けました)、適宜要所でより詳細なスモールステップを開示していくのです。最初から細かく切り分けすぎて全工程を見せると「あー! もう大変だからやらない!」となってしまうので、ある程度カベにぶつかったタイミングで「こういう“ 段取り” で進めたら乗り越えられるのではないかな?」と生徒のモチベーションを気にしながら少しずつ示すようにしていました。 乗り越えるたびに「すごいじゃないか!」と思い切り褒めることも忘れないようにしたいですね。
「頭・心・身体で納得できる“提案”を!」最後に決めるのは本人!
情報を渡して言葉を尽くし「あぁ、これは自分に必要かもしれない」と頭で理解するだけではなかなか一歩踏み出せない子も多いものです。 直接人から話を聞く、写真や映像などのより解像度の上がる体験を通して「もっと知りたい!」「なんだか楽しそう!」と心が動けば、じっとしてはいられなくなります。「一緒にやろうよ!」「あ! あなたも興味あるの?」と仲間が見つかれば不安もなくなり準備は整います。「こうすればやれるみたい!」「ここに行けばいいのか!」と分かれば、あとは身体を運んで進むだけ。 とてもシンプルなようですが、この過程でどれくらいスムーズに一歩踏み出させるのか、あるいはあえて負荷をかけるのか、それは生徒との距離の取り方を含めて一緒に伴走する教育者の個性が出るところだとも思います。「舵を握る船長は生徒、その船に乗りつつ行く先の見立てを示す航海士は教員」くらいの関係性でいられるとちょうどいいのではないでしょうか。皆さんも自分なりの「生徒の心に“ 火” がつく仕掛け」、ぜひ考えてみてください。 今月の教訓 ◎生徒の「想像」を「行動」につなげるべし! ◎「心が動くもの」を探して生徒に示すべし! ◎「誰もが一人は怖いもの」と思い出すべし! ◎「マイルストーン(道標)」を授けるべし! 大山 力也 1990年横浜生まれで幼少期をブラジルで過ごす。早稲田大学教育学部出身。2017年に鳥取県に移住して私立高校教員を5年間経験。総合探究主任やアントレプレナー部顧問として活動しながら、2019年には日本財団地域コーディネーターを兼任。2022年に徳島に移住し、2023年より開校した神山まるごと高専の学生応援統括&社会科として勤務。 *『月刊教員養成セミナー2024年7月号』地方発 !教育 で「日本列島 改造計画」 学校内に留まらず、外の世界と生徒を繋げる活動を実践している著者。「最高にクリエイティブ」という教員の仕事を通じて、地方から日本列島を改造中です。その実践をご覧あれ!