ゴールまで残り2kmで首位ミツビシに悪夢。トライトンの「エンジンが突然ストップ」原因は調査中/アジアクロスカントリーラリー
8月11日にタイで開幕したAXCRアジアクロスカントリーラリー2024は16日、終盤の競技5日目を迎えた。4台の『ミツビシ・トライトン』で今大会に参戦しているチーム三菱ラリーアートは、総合首位で“レグ5”に臨んだチャヤポン・ヨーター/ピーラポン・ソムバットウォン組(103号車)にトラブルが発生。大きく順位を落とすこととなった。 【写真】チーム最上位の総合5番手につける田口勝彦/保井隆宏組(107号車ミツビシ・トライトン) チームメイトの田口勝彦/保井隆宏組(107号車)は引き続き総合5番手につけるが、サクチャイ・ハーントラクーン/ジュンポン・ドゥアンティップ(130号車)は同23番手に。ヨーター組を救援した小出一登/千葉栄二組(137号車)は26番手となっている。 ラリー後半戦の二日目となった16日(金)はカンチャナブリをスタート/フィニッシュ地点とするループステージが設定され、この中に競技区間となるSS5が設けられた。農場内のフラットダートや荒れ地、サンディな路面などが舞台となった同ステージの距離は228.87kmでこれは今大会最長となった。 前日のレグ4で2番手タイムを記録した後、ライバルの脱落もあり総合首位に躍り出た“エース”のヨーターは、後続とのタイム差も充分にあったためリスクを避け、落ち着いたペースで順調に走行を続けていた。しかしフィニッシュまで残り2kmの地点で突然エンジンがストップし、停車を余儀なくされてしまう。 無情にもこの日37歳の誕生日を迎えたヨーターのクルマはふたたび動き出すことができず、ただ時間だけが過ぎていく。その後、小出組の助けを借り牽引されながらSSをフィニッシュしたものの、3時間のペナルティを課されたことで総合20番手に後退。ライバルに首位の座を明け渡すこととなった。 ヨーターから40分差の総合5番手につけていた田口は、この日もミスコースに苦しみながら力走を見せたが、泰緬連接鉄道を越える踏切ではちょうど列車に足止めされるなど不運な展開も重なり、ステージ18番手でのフィニッシュに。明日の最終日はチーム最上位の総合5番手からひとつでも上の順位でのフィニッシュを目指す。 前日のデイリタイアの後、総合25番手となったハーントラクーンは、ステージ後半のセクションで足まわりを破損。車体を傾けながらサービスへと戻ってきた。同じく15日のレグ4ではステージから離脱していた小出は、ヨーターを救援してSS5をフィニッシュ。その後のリエゾン(移動区間)でもヨーター車を牽引し、クイックサポートとしての役割を果たしながらラリー5日目を終えている。 2年ぶりの王座奪還を目指して戦うチーム三菱ラリーアートにとって“悪夢”のような展開となった一日を、元ダカールラリー2連覇王者である増岡浩総監督は次のように振り返る。 「首位のチャヤポン(・ヨーター)選手は今日も快調に走っていたのですが、200kmちょっとのSSを走って、ゴールのわずか手前2kmで突然エンジンがストップしてしまいました。そのまま再始動することはできず、最後は小出(一登)選手に牽引されてサービスに帰ってきています」 「まだはっきりと原因は分からないのですが、トップの座を失ってしまったのは非常に残念ですね。しかし、まだ田口(勝彦)選手、サクチャイ(・ハーントラクーン)選手、小出選手が走っているので、3台がそのポジションで確実にゴールすることが、このラリーでは重要だと考えています」 「17日が最終日ですが、最後までベストを尽くしていきますので、応援よろしくお願いします」 その競技6日目は、カンチャナブリ市街地の北部エリアで行われる全長86.73kmのSS6が戦いの舞台となる。同ステージは農場の中を走るフラットダートやアップダウンのあるコースで、終盤のセクションはSS5と同じ道を使用することになっている。 [オートスポーツweb 2024年08月17日]