ソフトバンク・石川がFA権行使 球団は3年総額5億円プラス出来高払い提示し引き留めを図る
ソフトバンクの石川柊太投手(32)が8日、今季取得した国内フリーエージェント(FA)権の行使を表明した。申請書類を提出するため訪れたみずほペイペイドームで取材に応じ、他球団の評価も聞きたいと意向を語った。ソフトバンクは宣言残留を認め、好条件の複数年契約で通算56勝右腕の引き留めを図る方針。人的補償の必要がないCランクとみられ、ヤクルトが関心を示すなど、今後の動向が注目される。 育成選手からはい上がり、ソフトバンクの投手陣を支えてきた石川が大きな決断を下した。 「自分が野球界でどういう評価をされているのかを見てみたいというのが一番のところ。選択肢が広がるところに価値はあると思うので行使させていただくことにしました」 2013年の育成ドラフト1位で入団。16年7月に支配下に昇格して、翌17年に1軍デビューし、通算185試合に登板して56勝を挙げた。代名詞のパワーカーブを武器に20年には最多勝、最高勝率のタイトルを獲得。昨季8月18日の西武戦ではノーヒットノーランを達成した。プロ11年目の今季は15試合に登板して7勝2敗、防御率2・56でリーグ優勝に貢献した。 育成選手からFA権取得までに至り、「自分の中では勝手に育成の星として、道があることを示せているんじゃないか、夢を与えられるんじゃないかと頑張っている。育成出身としてうれしいし、誇りに思いたい部分でもあります」との思いも口にした。公示翌日の15日から解禁となるソフトバンク以外との交渉については「年数や東京出身とかいろんな要素があると思いますが、そうではない要素が出てくる可能性があると自分では思っている。凄く不安がありながらも楽しみな部分もあります」と語った。 今季の年俸は1億2000万円。人的補償の必要がないCランクとみられ、争奪戦になる可能性もある。ソフトバンクは権利を行使した上での残留も認める方針。3年総額5億円プラス出来高払いとみられる好条件を提示して引き留めを図っている。「誠意は伝わっている。そこが不満だから宣言するわけではないというのは伝えたい」。他球団ではヤクルトが関心を示している中、宣言残留も含めて熟考を重ねていくことになりそうだ。 チャレンジ精神を胸にキャリアを積み重ねてきた右腕の決断に注目が集まる。 (金額は推定) ◇石川 柊太(いしかわ・しゅうた)1991年(平3)12月27日生まれ、東京都出身の32歳。都総合工科から創価大を経て2013年育成ドラフト1位でソフトバンクに入団。16年7月に支配下選手登録。20年に11勝で最多勝、最高勝率のタイトルを獲得。昨年8月18日の西武戦でノーヒットノーランを達成。妻は元SKE48の大場美奈。1メートル85、90キロ。右投げ右打ち。