昨年は「この世の終わりみたいな顔」と言われた千葉百音、GPファイナル2位…口角上げて成績もアップ
【グルノーブル(仏)=平地一紀】フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルは7日、フランスのグルノーブルで女子フリーが行われ、ショートプログラム(SP)2位の千葉百音(もね)(木下アカデミー)が139・52点で2位となり、合計208・85点で2位だった。アンバー・グレン(米)がSP、フリーともに1位で優勝。前回女王でSP4位の坂本花織(シスメックス)がフリーは137・15点、合計201・13点で3位に入った。樋口新葉(わかば)(ノエビア)が4位、吉田陽菜(はな)(木下アカデミー)が5位、松生理乃(中京大)が6位。 【写真】2位に入った千葉百音の華麗なフリーの演技
昨季は立つこともかなわなかったファイナルのリンクで、千葉が日本勢トップの2位になった。「とても完璧と言える出来ではなかったけど、全体的にまとめることができたのは大きな成果だと思う」。悔しさはありながら、表情には達成感がにじんでいた。
冒頭の2連続3回転と、続く3回転サルコーはいずれも成功。その後の3回転ループは、「(昨季の)世界選手権ではこけちゃったところが、今回は耐えられた」。着氷が乱れながらも転倒を防ぐと立て直した。
最後は堂々と右手を掲げた。どこか自信なさそうに見えた昨季までの姿は、もはやない。「SNSでファンの方から、『この世の終わりみたいな顔をしてる』って言われた」と笑う。生き生きと演じなければ、さらなる高みには届かないと気づいた。
「緊張はしていても、せめて口角を上げよう」と決意した今季。気持ちの変化が体にも伝わったのか、動きにダイナミックさが加わり、好成績が続いている。「もっといい演技で2位につけたかった。もっと上を目指していかないといけない」。たくましくなってきた19歳のスケーターが、己の殻を破りつつある。(平地一紀)
坂本3位、世界女王の意地
SP4位と出遅れた坂本だったが、世界女王の意地を見せた。冒頭のダブルアクセル(2回転半ジャンプ)、続く3回転ルッツを決めると、SPとは打って変わり、ダイナミックな演技で会場を魅了。後半のジャンプでミスが重なって得点を伸ばせなかったが、「今できることは全部出せた」と振り返った。今季のプログラムは「息をつく間もない」ほど動きが激しい。それでも大会直前まで滑り込み、「疲れていようが、集中できる」と言えるまでに自信を深めてきた。連覇は逃したが、「気持ちはスカッとしている」と笑顔を見せた。