「困ったら相談してね」が最悪のすれ違いを生む…仕事のトラブルを未然に防げる人が伝えている"効果的な一言"
■「相談の時間をいただきたいです」では目的が読めない 【損】相談させてください→【得】○○さんのアドバイスをいただきたいです 目的を最初に伝えてしまいましょう。報告・連絡・相談はあくまで手段。そのまま伝えるのではなく、アドバイスを求めているので相談したいと伝えてみましょう。相手も趣旨を瞬時に理解できます。具体的にお願いできれば、何を求められているのかすぐ理解できるので相手の判断もスムーズになります。 具体的な事例を考えてみましょう。例えば、プロジェクトの進行中に問題が発生したときに、「相談の時間をいただきたいです」とだけ頼むと、相手は意思決定なのかフィードバックなのか目的が読めず、一瞬構えてしまいます。状況が深刻なのかと妄想も始まってしまいます。「○○さんにこの案件についてアドバイスをいただきたいです」と伝えれば、目的がすぐに共有されます。相談以外の場合も、承認してほしいのか、議論して決断してほしいのか、単に情報共有したいのか、目的を先に伝えるとよいでしょう。 時には、経験や知識が門外不出のため、気軽に聞きづらい場合もあるでしょう。そのときはぜひ未来を添えて伝えてみてください。「企画の実現性が論点となっており、このままでは案件を競合他社に奪われてしまいます」といった背景を共有すれば、相手にも優先度が伝わり、心を動かすきっかけとなります。 ■「困ったら」では手遅れな場合がある 【損】困ったら相談してね→【得】相談するか迷ったら相談してね 習慣化のコツの一つに、If-Thenというテクニックがあります。朝起きたら英単語アプリを開く、というふうに「もしこうなったら、こうする」と決めてしまうのです。この方法は、相手に何かしてほしいときにも役立ちます。誰かに相談や報告をしてほしいときは、このIf-Thenをどう設定するかが鍵です。 「困ったら」というのは一見親切に見えるものの、問題が深刻化してからようやく相談されてしまうリスクがあります。たいてい、相談してほしいのはもっと手前の状況ではないでしょうか。 そこで、より早期に相談してもらえるよう「相談するか迷ったら相談してね」と言い換えてみてください。問題が小さいうちに相談しやすくなり、大きな問題に発展する前に解決策を見つけることができます。同じように、「資料ができたら見せてね」ではなく「構成ができたら、箇条書きで見せてね」と具体的なラインを設定するのもいいでしょう。「3回直してもバグが消えないときは聞いてね」「今日の17時までやってみてね」と、回数や制限時間を定めてあげるのも効果的です。 人によって「これは困った」という判断は異なります。定義が属人的になるものを報告や相談のIf-Thenに使ってしまうとトラブルの元。相手は言われた通り困ったから相談したのに、あなたは相談が遅いと感じてしまう。最悪のすれ違いですよね。 ---------- 藤田 卓也(ふじた・たくや) コピーライター 1987年生まれ。広島県出身。京都大学、東京大学大学院を修了。大学時代には京都学生祭典の実行委員長を務め、京大総長賞を受賞。2012年に電通入社。理系で言葉を扱うことが苦手だったものの、新卒でコピーライターに配属。主な仕事にIndeed「仕事さがしはIndeed」シリーズや史上初のワンピース実写化となった「麦わらの一味」シリーズ、日本コカ・コーラ「チーム コカ・コーラ」、スタディサプリ「18の問い」、漁師がつくったモーニングコールサービス「FISHERMAN CALL」など。国内外で20以上のアワードを受賞。最近の仕事に、ファミリーマート「コンビニエンスウェア」ブランドローンチおよびコンセプト、京都髙島屋 S.C. 専門店ゾーン「T8(ティーエイト)」ネーミング。現在はLINEヤフー社に所属。 ----------
コピーライター 藤田 卓也