センバツ・敦賀気比 癒やしと勝利を運ぶ小さな友 小哲とねこ吉
18日開幕の第94回選抜高校野球大会に出場する敦賀気比(福井)の選手たちには、練習の疲れを癒やす小さな「友」がいる。柴犬の「小哲(こてつ)」と猫の「ねこ吉(きち)」だ。2匹が来てから甲子園は3季連続出場となり、勝利を招く「チームの一員」となっている。 今年2月、練習後の暗くなった敦賀気比のグラウンド。春から3年生となる投手の大味悠人が散歩のリードを持つと、小哲は「待ってました」とばかりに雪の積もったグラウンドを駆け回った。大味は「小哲はとにかく自由で元気」と笑う。散歩やボール遊びをすると、大喜びで跳びはねる。 小哲は2019年12月生まれのオス。東哲平監督(41)が誕生後まもなく知人から譲り受け、「(選手たちが)かわいがってくれると思って」とグラウンドに連れてきた。東監督の名前から1文字を取って命名され、グラウンド脇の監督室で生活する。東監督やコーチ陣の他、部員では大味ら小哲と特に仲が良い数人が世話をする。 一方、ねこ吉は20年の秋ごろ、グラウンドの裏山から突然現れた。人懐っこい性格で、選手の足元にすり寄ってそのまま昼寝をしたり、膝の上で遊んだりする。部内の誰かが呼び始めた「ねこ吉」の愛称がいつの間にか定着。後にメスと判明したが、変わらずに「ねこ吉」と呼ばれている。 2匹との触れ合いは、ハードな練習に連日取り組む選手の心の癒やしとなっている。大味は「練習が終わって、体が疲れた時でも顔を見ると元気をもらえる。だいぶ癒やされている。こちらが助けられています」と表情を緩める。 2匹が来てから、チームは北信越大会で春も秋も黒星がない。21年秋は福井大会準決勝で啓新に敗れたが、3位決定戦で丹生に勝利して勢いを取り戻し、北信越大会を制した。甲子園も21年春から3季連続出場となり、「何か(白星と)縁があるのかもしれない」と大味は笑う。 センバツの期間中、2匹は地元で留守番の予定。選手たちの吉報を待っている。【石川裕士】 ◇全31試合をライブ中継 公式サイト「センバツLIVE!」(https://mainichi.jp/koshien/senbatsu/2022)では大会期間中、全31試合を動画中継します。また、「スポーツナビ」(https://baseball.yahoo.co.jp/hsb_spring/)でも展開します。