映画『ふれる。』長井龍雪監督&清水Pが語る、『あの花』『ここさけ』『空青』以降の新境地
「人に対する配慮とかも含めてのコミュニケーション」
─「コミュニケーション」について改めるきっかけになる本作。SNSが発達したいまの社会では、「腹を割って話す」ような機会が減り、相手を傷つけないような上辺だけのコミュニケーションも増えていると思います。お二人は現代社会のコミュニケーションについて、どうお考えでしょうか? 長井:逆にそれはすごい良いことだと思っていて、本音なんて正直に言わなくてもいいじゃんって思います。もちろん言わなきゃいけないことは言わなきゃいけないですが、隠したまま付き合ってうまくいってるならそれでいいと思うところもあって。 建前でも気持ちよくみんなで生活できてれば良いじゃないですか? あえて「本心は違うんだろう」とか疑っても、そもそも本当って何だよみたいな気持ちにもなるし。本音だけをぶつけ合ってたら、それは喧嘩にしかならんよねと思うので、ちゃんと隠せるのが大人だとも思います。 清水:もちろん本音で話すことが大事なときもあるかもしれないですが、それがヘイトスピーチのような問題につながるようなこともあるし、人に対する配慮とかも含めてのコミュニケーションだと思います。 ─最後に、これから見る方へのメッセージをお願いします。 清水:前作からの間隔は過去作と比べても一番空いてしまって、現場の皆さんの苦労も間近に見ていて、何より長井監督がこれまででもっとも苦労してつくった作品です。インタビュー中もお話ししたように、過去3作の良さも踏襲しながら主人公たちの設定やテーマ、舞台など長井組の新境地を見せているので、ぜひ劇場で見ていただけると嬉しく思います。 長井:スタッフ一同身を削ってつくっていいフィルムになったと思います。青年3人の友情という、いままでとは少し毛色の違う感じを楽しんでいただければと思いますので、よろしくお願いします。
インタビュー・テキスト by 廣田一馬 / 撮影 by 小林真梨子