原発のごみ、日本に埋める場所ありますか? 2.地下環境とその機能
で、同じように堆積岩の中、これは先ほどの示したウラン鉱床の話ですが、これも白い部分、これが実は岩石の、これは堆積岩ですけど、白い部分の中にウランが濃集しています。どういったところにウランが濃集しているかっていうと、皆さんも知っていると思うんですけど、黒雲母っていう鉱物、黒い、薄く割れる鉱物の中にウランっていうのはより、あるいは放射性元素っていうのは、より吸着しやすいっていうことが分かってきています。 この黒雲母とかいう鉱物は岩石には非常に、普遍的に入るような鉱物です。今、回している岩石試料の黒い部分、そういったところが鉱物です。そういう意味でも、こういう鉱物があるから2000万年間もウランが堆積岩の中に保持されてきているっていうことが言えるということになります。 もう1つの、今度は地下水の話ですが、地下水は、じゃあ、地下は地下水として動くだろうということですけど、確かに地下水は動くんですが、実は地下水は最終的には海面のレベルに向かって地上から、いわゆる山の高いところから流れてくることになります。例えば2点間の部分を調べると、勾配が高ければ高いほど、角度があればあるほど地下水って流れやすくなりますね。ところが海面をゼロメーターで、基準で考えた場合に、それよりも深いところに地下坑道を造れば、地下水の流れっていうのは基本的に非常に遅くなることになります。ちょうどお風呂の中に入ってるような状態ですね。
そういう地下水の流れの動きを利用して、実は今、瀬戸内海の海底下には液体ガス、LPGっていう、例えばガスコンロで使うコンロのカートリッジですね。あれにはしゃかしゃかと振るとその液体が入ってますが、それを地下の岩盤の中、花崗岩の中にそのまま保存しようという仕組みがあります。この深さは海底下、瀬戸内海の海底下200メーターぐらいなんです。この上は瀬戸内海ですね。
で、岩盤の中に、大きさとしては400メーターで、高さが25メーターとか、40メーターというものですけど、これ、掘削途中のものですが、こういう状態。で、この周辺はコンクリートを若干吹き付けていますが、基本は花崗岩っていう岩盤の中に、地下水のある岩盤の中に気圧を高めることによって気体を液体にして保存すると、そういう仕組みがあります。 これも要は地下だから水が動きやすいから駄目だということではなくて、地下の海底下、あるいは地下の深いところであれば、水があっても、その水の流れっていうのは非常に遅くなって、その圧力でもっていろいろなものが保存できるような状態っていう働きっていいますか、物理的な状態も作れるということですね。実際、放射性廃棄物は個体でそこに廃棄体を入れますので液体とかいう状態ではありませんので、そういう地下には物性っていいますか、それが備わっているという事例として、ちょっとお知らせしました。 最後に皆さんがちょっと関心のあるところと思いますが、じゃあ、その処分の環境、場所はあるのかということについてお話をしようと思いますけど。 岩崎:はい。まずここまでで地下ってどういうところなのって、地下ってどういう機能が持っているのって、お話があったんですが、ちょっとあれですね。結構多くの内容が、ばっと詰め込まれていたので理解がなかなか追いつかないところもあるかもしれませんが、一番怖いのが地下水に触れて、それが地下水とともに流れて拡散していってしまうということが、地下のリスクとしてあって、ただ、流れる道にある岩石の種類とか、岩石の機能というものがあって、吸着する岩石の機能と、吸着したままそれを拡散させないようにしているというところもあるので、その岩石がどういう種類だとどういう性質を持っているか。それを日本の岩石で見ていくということが非常に重要だというお話だったかと思います。 で、いよいよ、では日本で処分場を選ぶとしたらどういう条件が必要なのかというところにお話を移していきましょう。 →第3部へ