原発のごみ、日本に埋める場所ありますか? 2.地下環境とその機能
じゃあ、実際そういう割れ目の周辺からどういう物質、元素の移動が起こっているのかというものですけど、これは割れ目の周辺にこういう、おそらく皆さんも石材とかで見たことあると思うんですが、こういう染みになったようなもの。ここが割れ目があるんです。これは、ここから元素が岩石の基質のほうに移動しているっていうことが分かったもので、そこの部分の岩石の状態も、こういうふうに色が変わったりしています。
で、ここの部分を割れ目からどういうふうに元素が移動しているか、特に先ほどもお話をしました、ウランっていうものに着目してみると、割れ目から岩石の中に入るに従ってウランの濃度が高くなって、一番ウランが濃集しているのはこの赤い部分の先端の部分なんですね。 岩崎:先生、ちょっといいですか。ここに今、割れ目があって、さっき縦に割れ目が出ていましたよね。 吉田:ああ、そうですね。ちょっとこれを。 岩崎:で、ここ、さっき、前の写真で縦に割れ目があって、左右に色が変わった部分があって、ここで地下水が。 吉田:そうです。ここを地下水が流れていって、こっちからも浸透して。 岩崎:こう、浸透していっているという。皆さん、図、分かるでしょうかね。 吉田:なんでこんなことをやっているかっていうと、将来、もし、放射性元素が溶けた地下水が岩石の中を流れるとなると、こういう割れ目を通るはずです。この割れ目を通りつつ、周辺にどれくらい拡散してって、この周辺がどれくらい放射性元素を吸着してくれるのかっていうことを知っておく必要がある。あるいは、もしこれを吸着する力がないんであれば、それは、やっぱりここを通る放射性元素がより遠くまで流れていってしまうことになると。 その辺の割合、量、それを働き、機能と私は言っているんですが、吸着量っていうのを岩石ごとにちゃんと認識しておく必要があるだろうと。それは最初の岩崎さんの質問じゃないですけど、果たして日本で処分することが可能なのかどうかということの、いわゆる1つの科学的データ、裏付けにもなる。 で、もしこういう吸着量がないんであれば、なかなかそれは地下では処分できないよねと。でも吸着ができるんであれば、それは岩石もそれだけのバリア機能っていうのをちゃんと持っているんだよねっていうことが理解できるということですね。 そういう意味で、これで見ると、この先端の部分では、先ほどの鉄酸化物、赤茶色い鉱物なんですけど、そういったところにウランが濃集している箇所というのが見受けられるということですね。そういう現象っていうのが、ちゃんと岩石の中にもありますので、もしこういうところをウランが流れてって、地下水とともに流れてって、広がった場合には、こういった酸化物とかがあれば、こういうところに吸着されることになると。 じゃあ、地下の中って酸素がないのに酸化物ってあるのかっていうことなんですけど、これらを放射性元素が流れる前に、もし放射性元素が流れるとなると、先ほど言っていた鉄のオーバーパックっていうのは溶けているはずですね。で、オーバーパックが溶けてどこを流れるかっていうと、オーバーパックもここを最初に流れているはずなので、そうするとこの流れている周辺には、鉄の酸化物も広がっている可能性があります。となると、鉄の酸化物が広がったあとに、地下水に溶け込んだウランとか放射性元素が流れることになりますので、こういった天然の事例は鉄酸化物があっても、それは吸着材として働くということを示してくれているということです。