小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」一挙放送決定! 制作統括が語るリアルな描写の裏側
──また、共感という部分では、毎回使われる楽曲のセレクトがノエチやなっちゃん世代にとってはドンズバだったかと思います。 「最終回の『二人紅白』以外は、脚本家の吉田紀子さんが曲を選んだ上で脚本を書いてくださいました。『二人紅白』は小泉さんと小林さんのセレクト。何曲か歌うので、歌いやすい曲を選んでくださいとお願いして、カンペがなくても歌えるなじみのある曲を選んでもらいました。お二人が歌っている姿を見て、カラオケなんかでよく歌ってる曲なんだろうなって思いました。普通、なかなか、アラジンの『完全無欠のロックンローラー』(1981年)を選ばないですよね(笑)。ちなみに、歌っている時の衣装や振り付けも小泉さんと小林さんが考えています」 ──とても楽しそうに歌って踊っている姿が印象的でした。 「放送した尺は編集でまとめたもので、実は、撮影では1曲をフルで歌っているんです。歌い終わったお二人はバテバテでしたけど(笑)」
──フルサイズの歌唱もぜひ見てみたいです(笑)。また、なっちゃんが作る素朴でおいしそうな家庭料理も本作を見る楽しみの一つでした。 「豪華なメニューではなく、彼女たちの生活の中で出てくる料理がコンセプトでした。『かもめ食堂』(2006年)の料理も手がけたフードコーディネーターの飯島奈美さんに、ノエチとなっちゃんの経済状況や生活を踏まえて考えていただきました」
──いろいろな考察、要素があって「団地のふたり」の世界観が成り立っていることが分かりましたが、八木さんが特に印象深いと感じた場面やセリフはありますか。 「『大学を卒業してから55歳になるまで33年。平均寿命を迎えるまでにそれと同じ長さの時間がある』とノエチが言うんですね。これ、すごくいいセリフだと思うんです。50代後半になって人生の終わりが見えてきたと考えるのではなく、今までと同じ時間があると捉えることができるポジティブなセリフだなと感じました。そして、シリアスな話題が出てきても、見ていて暗くならないのは出演者の力がとても大きかった。小泉さん、小林さんはもちろん、ノエチの両親役の橋爪功さんや丘みつ子さん、由紀さおりさん、名取裕子さんらの演技は本当に素晴らしかったですね」