小泉今日子×小林聡美「団地のふたり」一挙放送決定! 制作統括が語るリアルな描写の裏側
──日常のさりげないエピソードから親の介護問題、老朽化した団地の建て替え問題など、さまざまな出来事が描かれていますが、どのように組み立てられたのでしょうか。 「原作にあるエピソードは第1回と第7回のみで、ほかはオリジナルで描きました。先ほど、かなり綿密な取材をしたと言いましたが、まず、団地にはどんな方が住われているのだろうということを知りたかった。たとえば、今は世間的にはLGBTに対する理解が進んでいますが、民間のアパートやマンションでは入居がほぼ断られるという現実があるんです。でも、公営が多い団地にはそういった制約がありません。そういう事実に基づいて、ムロツヨシさん演じる森山というキャラクターが生まれています。ほかにも、取材に基づいてキャラクター造形をして人物配置をしました。その上でゲスト出演者を決めていました」 ──ノエチたちが住む団地は、外観は実際の団地を使われたそうですが、それも取材の成果でしょうか。 「かなりいろいろな団地を廻ってロケ先を決めました。通常は美術さんがロケ先に装飾をするんですが、今回は、外観に関してはそのまま使わせていただいています。団地の外に植えてある花は、実際に住民の方が育てているものなんですよ。撮影のためにこちらで何かを足すことはしていないので、リアリティーがあったのだと思います」 ──団地内の部屋のセットに関しては、小泉さんが「インテリアは八木さんがとてもこだわっていた」とおっしゃっていましたが、どのあたりにこだわりが? 「僕は、テレビドラマは美術さんの力に負うところがとても大きいと考えています。今回でいえば、部屋は団地サイズの実寸で作っています。通常は、撮りやすいように大きめに作ったりするんですが。衣装も同じです。通常、主役クラスには専属のスタイリストさんがついて、とてもすてきな衣装を選んでくれるんですが…『普通の生活で着る服じゃないな』と思ってしまうこともありますよね。今回はそうならないよう、誰でも購入できるような服を、古着のお店などを利用して集めていただきました。とはいえ、リアル過ぎると画のトーンが地味になってしまうので、由紀さおりさんが演じた佐久間絢子の衣装には少し派手な色味とデザインを取り入れています。衣装さんの遊びごころでちょっと若作りをしていただいて、無理のない形でバランスを取るようにしました」