5月17日は「高血圧の日」 放置すれば命の危険も…最新知見に基づく対策開始を
高血圧の認識と管理の重要性を啓発するため、毎年5月17日は「高血圧の日」と定められています。健康診断などで「血圧が高め」と指摘されても、自覚症状が現れたり日常生活に支障が出たりすることはほとんどありません。一方で、高血圧は「サイレントキラー」の別名があり、放置すると命に関わる病気につながる恐れもあります。高血圧はどこが怖いのでしょうか、予防法や治療法は――? 今回は高血圧について詳しく解説します。【イーヘルスクリニック新宿院院長・天野方一/メディカルノートNEWS & JOURNAL】
◇高血圧とは
高血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力(血圧)が高い状態のことを指します。血圧は日常生活や時間帯、季節によっても左右されますが、持続的に血圧が高い状態は「高血圧症」と呼ばれます。高血圧になると血管に持続的に負担がかかるため、血管がしなやかさを失う「動脈硬化」になり、脳卒中、心臓病や慢性腎臓病(CKD)など、さまざまな病気に影響を与えていることが分かっています。 ところが、日本の高血圧患者で実際に治療を受けているのは、約2割から3割に過ぎません。このような背景から、日本高血圧学会と日本高血圧協会は毎年5月17日を「高血圧の日」と制定し、高血圧の認識と管理の重要性を啓発しています。世界高血圧連盟が制定した「世界高血圧デー」に由来するもので、日本では2007年に開催された第30回日本高血圧学会総会で制定され、日本記念日協会にも認定登録されました。
◇高血圧の定義
血圧は測定されるときの本人の状態や環境によっても数値が異なります。病院で測定する血圧(診察室血圧)と自宅で測定する血圧(家庭血圧)は数値が異なり、どちらも診断する際には重要な指標になります。具体的には、診察室血圧だと140/90mmHg以上、家庭血圧は135/85mmHg以上が高血圧の基準となっています。 高血圧では一般的に自覚症状は現れませんが、血圧がかなり高いときには頭痛、めまい、肩こりなどの症状が現れることがあります。これらの症状が出たときや血圧が高い状態が続く場合は、医療機関の受診が推奨されています。