地方議会の人材不足解消の一助に? 「ふるさと納税議員」案とは
地方議員の不祥事が相次ぎ、地方議会の“劣化”を指摘する声もあります。その要因の一つとして挙げられるのが、議員の成り手がいないという問題です。地方から都市部への人口流出や高齢化が深刻化する中で、特に過疎地域などでは無投票当選が続くなど、人材不足は切実な問題になりつつあります。そうした成り手不足を解消する一つの案として、国家戦略特区に「ふるさと納税議員」制度を新設するという提案があります。これはどのような制度で、どんな課題があるのでしょうか。地方自治に詳しいジャーナリストの相川俊英氏が解説します。
3大都市圏で総人口の過半数占める
お盆休みを必ず故郷で過ごすという人は少なくないはずだ。また、故郷で暮らす親のことが心配でしばしば足を運ぶ方も多いのでは。そして、帰省する度に変わりゆく故郷の姿に心乱れるという人も。自分が生れ育った故郷は今後、どうなってしまうのかという不安と寂しさである。 人口の偏在が日本列島を深く覆っている。都市部への人口集中が止まらず、東京、名古屋、関西の3大都市圏の人口は約6444万人にのぼる。日本の総人口の約51%に達している(2015年1月1日時点 総務省の人口調査)。その一方で地方の人口減少に歯止めがかからず、中でも山間地や離島などで深刻な状況が加速する。 地方から都市部への人口流出は高度経済成長期に始まり、以来、半世紀が経過。この間、地元に残って地域を支えてきたのが、昭和ひとけた世代だ。そうした世代が全員、80代に突入し、現役から退く人たちが激増している。田畑や山林、家屋の所有権の継承という新たな課題が地域に広がっている。彼らの資産を相続するほとんどが、都市部で働く現役世代である。地域に残って懸命に支えてきた昭和ひとけた世代に代わり、大量の不在地主が誕生するのである。 お盆休みに帰省してのんびりしたいが、故郷で迎えてくれる親兄弟もいない。墓参りだけで誰にも会わずに都会に戻る。そんな寂しい帰省風景が今後、ごく当たり前のものになりかねない。