地方議会の人材不足解消の一助に? 「ふるさと納税議員」案とは
議員定数を満たすのが困難な自治体も
既に山間地や離島などで存続の危機に瀕しているものがある。それは自治体の議会である。地域から議員の成り手が姿を消し、選挙にならないどころか、議員定数を満たすことすら困難になっている自治体が急増している。議会を構成する人材を自前で賄えなくなっているのである。 4月に実施された統一地方選をみると、373町村議選のうち89選挙が無投票となった。立候補者数が議員定数を上回らなかったケースである。さらに、立候補者数が定数を下回り、定数割れとなった町村議会も4つ。北海道浦幌町(定数11・以下同)、東京都神津島村(8)、新潟県粟島浦村(8)、長野県南牧村(8)の4町村で、いずれも候補者数が議員定数を1つ下回った。このため全員が無投票当選で議員となり、各議会とも欠員1のままでスタートすることになった。 このほかに選挙直前に議員定数を削減した自治体もあった。昨年12月に定数を7から6にした奈良県黒滝村と今年4月に10から8に削減した群馬県上野村だ。いずれも無投票を避けるために駆け込み削減したとのことだが、本当の狙いは別なところにあったとみる。再選挙を回避するための一策ではないか。 立候補者数が議員定数を上回らなければ、選挙は無投票となり、立候補者全員がそのまま議員となる。しかし、公職選挙法は立候補者数の不足数が議員定数の6分の1を超えた場合、再選挙を規定している。不足分の議員選挙を改めてやらねばならないのである。この場合、欠員を抱えたまま新議会をスタートさせることはできず、議会開会は新議員が確定するまで待たねばならない。
議員定数を削減して再選挙を防ぐ?
自治体の意思決定は議会の議決によってなされるので、再選挙となると自治体業務に多大な影響が生じる。そのため再選挙だけは避けたいと、告示ギリギリまで候補者集めに奔走したり、さらには定数削減という奇想天外な策に出たりするのである。こんな事例もある。 群馬県神流町の議員定数は、現在「8」。2013年の町議選直前に10から8に削減されたのである。当時、立候補者が10人に満たず、2人不足しただけでも再選挙となってしまうため、告示日の3週間前に大慌てで定数を2つ削減したのである。結局、8人が立候補し、無投票となった。内訳は、現職6人と数年前に引退した70代の元議員ら2人。いずれも懇願されてやむなく議員に復帰したという。現在の神流町議員の年齢構成は、40代が2人、60代が4人、70代と80代が1人ずつとなっている。 実は、神流町ではその4年前にも議員定数の削減が行われていた。2009年の町議選の直前に12の議員定数が10に減らされていた。つまり、神流町は4年ごとに定数を2つずつ削減し続けているのである。はたして次回2017年の町議選はどうなるだろうか。