地方議会の人材不足解消の一助に? 「ふるさと納税議員」案とは
「ふるさと納税議員」制度という提案
過疎地の小規模自治体で議員の成り手不足が深刻化している。議会を存続させること自体が、もはや、困難になりつつある。それが偽らざる現実の姿である。こうした切羽詰まった状況を打破するにはどうしたらよいか。地域内に議員の成り手が見当たらないのならば、人材供給の枠を広げてみるのはどうだろうか。 「地方創生」を掲げる安倍内閣はその施策の一つとして、「国家戦略特区」を推進している。地域限定で規制を緩和して地域の活性化を目指すもので、自治体や議会、民間事業者に広くアイデアを募っている。 この国家戦略特区に、ある興味深い提案がなされている。「ふるさと選挙」制度を新設するという妙案で、株式会社「特区ビジネスコンサルティング」によるものだ。特定の自治体に一定額以上のふるさと納税を行った人に、その自治体での選挙権と被選挙権を付与するというアイデアである。住民でなくてもふるさと納税した先の自治体の首長選や議員選に投票でき、さらには議員選にも立候補できるよう公職選挙法に地域限定で特例を設けるという提案だ。 地方議員の場合、現行法では住民であること(引き続き3か月以上同一の市区町村に住所のある者)が要件となっている。つまり、地方議会選挙にはその地域での選挙権を持つ者しか立候補できず、住民でなくても出られる首長選などとは大きく異なる。なぜ、そうした違いが設けられているのか、その理由は分からないが、とにかく法律でそう定められている。「ふるさと選挙」制度の提案は、そうした規制に風穴を開けて、地方議会への人材供給ルートの新設を意図しているのである。 特典目当てでふるさと納税する人が急増しているが、もともとは応援したい、恩返ししたい、力になりたいという特定の自治体に寄付するというのが、ふるさと納税制度の趣旨である。実際、自分の故郷や親が暮らしている地域、さらには自分のお気に入りの自治体などに、見返りを求めずにふるさと納税している方も少なくない。 特区提案は、こうした特定の地域に思いを抱いている都市住民らに財政面だけでなく、自治の面でも協力してもらえるようにしたらどうかというものだ。地域の外で活躍している人たちに議会参加の道を開くことで、議会と地域の活性化を図り、さらには都市部との交流拡大の効果も期待できるのではと主張している。