“おひとりさま”が知っておきたい「相続」のこと。親の財産を血縁に残すには
遺言書の効力が絶大であることを知ろう
財産を整理することは、“その財産を誰に相続させるのか”を考えるきっかけにもなると曽根さんは言います。 「なにも対策しなければ、当然ですが、財産は法律どおりに処理。特別に財産を残したい人がいたり、逆に残したくない人がいたりする場合は、遺言書を残しておく必要があります」 自身の財産のなかに、親から受け継いだものがある人もいるかと思います。 「こうした財産があると、できるだけ血縁者に残したいと考える人が多いようです。たとえば、子どもがいない場合、法律どおりだと財産は配偶者に4分の3、兄弟姉妹に4分の1が法定割合に。その後、配偶者が亡くなると、その財産は配偶者の兄弟姉妹が相続することになります」 つまり親から受け継いだ財産が、自分の兄弟姉妹ではなく、赤の他人である配偶者の兄弟姉妹に相続されてしまうのです…。
自分の「兄弟姉妹」にできるだけ相続させるためには?
では、上記のような事態にならないためにはどうすればいいのでしょうか。 「自分の財産を、なるべく兄弟姉妹に多く残したいのであれば、遺言書の作成は必須。ただし、配偶者には遺留分として財産の2分の1を相続する権利があります。遺留分を無視して遺言書を残すと、トラブルの原因となりますので、注意が必要です」 遺言書を作成して、配偶者の相続割合を遺留分程度にすることにより、配偶者の兄弟姉妹へ渡る財産は最低限にとどめられます。 また、配偶者に財産の2分の1、兄弟姉妹に財産の2分の1とする遺言書であれば、配偶者の遺留分を侵害することなく、兄弟姉妹により多くの財産を残すことができます。 「配偶者の取り分を減らす場合は、“配偶者居住権”を設定するなど、配偶者が困らないような配慮をしておけば、トラブルを避けることができますよ」 とにかく、生前に自分の財産を整理しておくことがいちばん大事! そうすることで、自分の死後に財産をどうするのかも、ある程度は決めることができます。とくに子どもがいない夫婦やおひとりさまは、元気なうちに自分の財産を把握しておくことが大切です。財産の管理には、早い遅いはないのです!
ESSEonline編集部