頼もしい存在と高いレベルで要求し合う――東洋大の“二枚看板”レフティCB稲村隼翔とドリブラー新井悠太の友情と固い絆。インカレ初優勝に意欲
新井は東京V、稲村は新潟に加入内定
インカレにおいて東洋大が初の決勝進出を果たした。快進撃を続ける東洋大には、すでにプロの舞台を経験している『二枚看板』がいる。 【画像】広瀬姉妹・ガッキー・本田望結! 初代から最新20代目の月島琉衣まで「選手権・歴代応援マネージャー」を一挙公開! アルビレックス新潟に加入内定している左利きのCB稲村隼翔と、東京ヴェルディに加入内定しているドリブラーのMF新井悠太。 共に前橋育英高校でもチームメイトとしてプレーした2人のうち、先に頭角を現したのは新井の方だった。 2023年の6月に当時J2だった東京V入り内定が発表されると、7月のJ2第24節のV・ファーレン長崎戦でJデビューを飾り、初ゴールもマーク。その後も切れ味の鋭いドリブルがJ2リーグで猛威を奮って、このシーズンはリーグ戦8試合に出場し、2ゴール・2アシストを記録。J1昇格プレーオフでも清水エスパルスとの決勝戦で最初の交代カードとして63分に投入されると、緊迫の状況下でも持ち味を発揮してJ1昇格に大きく貢献した。さらにパリ五輪を目ざすU-22日本代表にも選出されるなど、まさに旬の時を迎えた。 その一方で稲村も昨年の6月1日という新井とほぼ同じタイミングで新潟入り内定を発表したが、J2でブレイクする新井を尻目に一度もJ1で出場できなかった。 「アタッカーと違ってセンターバックは経験がものを言うポジションなので、早く内定を決めても出番を掴むことは至難の技だとは分かっていました。でも、高校時代からずっと一緒にいる悠太がブレイクする姿を見て、焦りと悔しさは正直ありました」 一気に日の目を浴びた親友を応援する気持ちと、同じプロ内定者として負けられないという気持ちが同居した。だが、稲村は「ここでどうしたら自分もプロの試合に出られるのかを本気で考えることができたし、もっと自分に厳しく大学サッカーに取り組まないといけないという危機感と覚悟を得ることができた」と、プロ内定という看板にあぐらをかくことなく自己研鑽にコミットできた。 そしてその努力が今年、花を開いた。4月のJ1第9節の京都サンガF.C.戦でベンチ入りすると、10節のFC東京戦で待望のプロデビュー。1対1の強さとカバーリングのうまさに加え、正確無比な左足を駆使したビルドアップ面でも能力を発揮し、徐々に出場時間を伸ばし、20節・サンフレッチェ広島戦と21節・北海道コンサドーレ札幌戦でスタメン出場。ルヴァンカップでは主軸CBとして快進撃を支え、名古屋グランパスとの決勝の舞台でも先発フル出場。カップ戦、リーグ終盤戦ではチームになくてはならない存在となった。 その一方で新井は苦しんでいた。4年生になりJ1でのプレーと東洋大のエースとしてのプレー、そしてパリ五輪と大きな期待を寄せられていたが、春先に右のシンスプリント(脛骨の周りにある骨膜が炎症を起こすスポーツ障害)が起こり、常に痛みを抱えてのプレーを強いられた。持ち前の切れ味あるドリブルや爆発的なスピードが思うように出せず、ベストなパフォーマンスから遠ざかった。 それでもJ1第20節のジュビロ磐田戦でJ1デビューを飾ったが、昨年ほどのインパクトは残せず、26節・名古屋グランパス戦でリーグ3試合目を経験して以降は、東京Vでの出番は無くなり、パリ五輪のメンバーからも漏れた。