まさにエースの仕事。帝京大可児FW加藤隆成が全国通算10ゴール目の快挙!! 「高岡がいないということは…」得点王&日本一へ好発進
[12.31 選手権2回戦 帝京大可児高 5-1 大分鶴崎高 味フィ西] 初戦の重圧もあって固い入りを見せた帝京大可児高だったが、緊迫ムードをぶち破ったのはやはり、絶対的エースの一撃だった。主将で10番のFW加藤隆成(3年=帝京大可児中)は前半22分、MF松井空音(3年=FCフェルボールテクニコ)からの浮き球パスに抜け出すと、持ち前の推進力でGKも振り切り、無人のゴールにシュート。これがチームの先制点となり、ゴールラッシュの口火を切った。 【写真】「イケメン揃い」「遺伝子を感じる」長友佑都の妻・平愛梨さんが家族写真を公開 岐阜県1部リーグの2年間で通算70ゴール、選手権県予選で2年連続21ゴールを記録した圧倒的な得点力は全国でも健在だった。「県大会とは違う応援で緊張感もあったけど、自分の中でも自信があったので良かった」(加藤)。その揺るぎない自信は、過去の全国大会での実績が証明している。 1年夏のインターハイから出番を掴み、初の選手権で10番を託された加藤は、初年度こそ夏冬無得点に終わったが、昨季はインターハイ3得点、選手権2得点と実力を発揮。今季のインターハイも2試合4得点を挙げ、さらなる成長を見せつけると、集大成の選手権でも得点を記録し、4大会連続得点による通算ゴール数は「10」に達した。 もはやテーマは「全国で通用するか」ではなく「どれだけ結果を残せるか」――。そんな加藤は今大会、2桁ゴールでの得点王で日本一に導くという使命を自らに課している。そのため、この日は先制ゴールを沈めた後も、さらにリードを広げるために積極的にシュートを連発し、ギラギラ感を全面に表現するようなパフォーマンスを続けていた。 結果的には追加点を奪うには至らず、「そこから自分自分となりすぎて点が入らず、チーム全体でも点が入らなかった。前半に2-0、3-0にできたと思うので、決定力はチーム全体でも自分としても課題」と悔いも残したが、その迫力は相手にとって脅威そのもの。さらに帝京大可児のトップ下には「加藤隆成よりも絶対に多く点を取りたい」という野望を口にする後輩のMF青木嘉宏(2年)も構えており、加藤がマークを集めれば集めるほど周囲の選手が活かされやすい状況になるのも相手チームにとっては難しい点だ。 実際、この日は加藤が追加点を奪えない間に青木が2ゴールを記録。加藤自身は「自分たちもどっちが決めるか勝負だと思うし、ヨシくん(青木)も自分のゴールと競ってくれていて、いいライバルだと思うし、いい後輩だと思う。自分たちが高めていければ得点ランキングに2人とも入れると思う」と冷静に受け止めていたが、一方の青木は「この大会で自分のほうがすごいというのを見せつけたい」と嬉しそうに話し、前向きな相乗効果を感じさせていた。 2人の関係性では象徴的なシーンが後半20分にあった。ペナルティエリア外でボールを持った加藤は、青木が斜め前でフリーになっているなかでも強引にシュートを選択。これは相手のブロックに遭ってカウンター対応を強いられたが、そこで加藤は猛然とプレスバックし、自らがボールを奪い切ると、そこからの攻撃で青木の追加点が生まれていた。 加藤によると、ここでの振る舞いはストライカーとしての意識の賜物だった。「自分がこれだけゴールを狙うということはそれだけミスが増えるということなので、切り替えは常に仲井(正剛)監督から言われていて、自分としてもやらないといけない部分だと思うのでそこは意識している」。シュートへの意識が高いからこそ、より守備にも強く向き合えている部分があるようだ。 またその加藤の姿勢が、青木のライバル意識にも火をつけている。仲井監督はこのシーンの2人の関係性について「加藤はあまり意識していないけど、青木はバリバリ意識していますね(笑)」と振り返りつつ、「加藤がパスしなかった理由は、(日章学園の)高岡くんが(初戦で)3点取っていたので、そっちを意識していたんだと思います」と明かした。 加藤にとって本当のライバルは昨年秋のU-17W杯で大ブレイクし、卒業後にイングランド・サウサンプトンに加入することが決まっている日章学園のFW高岡伶颯。過去2シーズンでは加藤のほうが全国大会で大きな実績を残してきているものの、世界大会の結果や進路の華やかさから最注目ストライカーの座は譲る形となっている相手だ。 もっとも、その高岡はこの試合の裏で行われた2回戦で大会4点目を奪いながらも、無念の敗退。得点王筆頭候補が4ゴールのまま大会を去ることが決まった。 その中で加藤は帝京大可児の名を広く知らしめるためにも、決意を新たにしている。「(青森山田などの)強豪校も負けていて、いろんなチームが満遍なく注目されると思う。自分がFWとしてもっと決めるところをもっと決められれば、数字の部分でも、高岡がいないということはもっと上を目指せると思う。数字にこだわって頑張っていきたい」。日本一のため、得点王のため。大学経由でのプロ入りを狙う帝京大可児の絶対的エースは、全国の戦いを通じてさらに基準を高め、結果を残し続けていくつもりだ。
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