75歳の知人は地方議会の議員を務めています。政治家には「定年」がないのでしょうか?
地方議会の様子や国会中継などを見ると、比較的高齢の議員が映っている場面を見ることがあります。今回のケースのように、75歳でも現役で議会に参加している議員もいます。このような状況を見て、「政治家に定年はないのだろうか」と疑問に思う人がいるかもしれません。 本記事では、年齢に関する地方議会の現状や国会議員の定年制の有無について解説します。 ▼会社員で「年収1000万円」以上の割合は? 大企業ほど高年収を目指せる?
地方議会の議員年齢に関する現状
議員の平均年齢は地方議会により異なりますが、平均年齢を示す総務省のデータがあります。 総務省の「地方議会・議員のあり方に関する研究会(第4回)」によると、都道府県議会議員と市議会議員、町村議会議員の年齢状況は表1の通りです。 表1
出典:総務省「地方議会・議員のあり方に関する研究会(第4回)」を基に筆者作成 いずれの規模の議会でも、40歳未満の数が相対的に少ないです。また60歳以上70歳未満の年齢の議員がもっとも大きな割合を占めています。町村議会においては4人に一人以上が70歳以上80歳未満でした。 おおまかな傾向としては、議会規模が大きい方が平均年齢層が若くなっているようです。
議員に定年制度はある?
議員に定年制度は現状ありません。一般的な企業は60歳や65歳を定年としているケースが多いですが、地方議会でも国会でも、議員には年齢制限が定められていないようです。 議員になるには、立候補して投票を受ける「被選挙権」の条件を満たす必要があります。年齢の項目に関しては、満25歳もしくは満30歳以上と最低年齢が決められていますが、最高年齢については明記されていません。 定年制に関してはさまざまな議論が行われています。「比例代表の場合は新陳代謝を図るために定年のルールがあるといい」という声や、「健康状態や能力、評価などは人それぞれなので、高齢議員がふさわしいかどうかは有権者が判断すべき」という声があるようです。
定年後も議員を続けた場合、報酬はいくらもらえる?
全国市議会議長会が全国815市を対象に行った調査を記した資料「市議会議員報酬に関する調査結果」によると、令和5年12月31日時点における議員の平均報酬月額は42万5000円でした。仮に12ヶ月同じ額をもらうとすると、510万円の報酬です。ここでは、期末手当など諸手当は加算せず、月額報酬のみで計算します。 この平均額を60歳から毎年もらうと仮定した場合、年齢別の総報酬額は以下の通りです。 ・65歳時点:2550万円 ・70歳時点:5100万円 ・75歳時点:7650万円 同資料では、各市議会議員の期末手当支給割合についても公開されています。そのため、実際には報酬月額に加えて、約3~5ヶ月分の期末手当を合計したものが議員の年収であると推測できるでしょう。 ただし報酬額は市議会によって異なるため、これはあくまで目安にすぎません。前述の調査によれば、人口5万人未満の議会の最低月額報酬額は18万円なのに対し、指定都市の最高月額報酬は96万円でした。 12ヶ月計算だと、それぞれ216万円と1152万円です。自治体によって異なるものの、実際はこの報酬額に期末手当が加算されるため、さらに差が広がると考えられます。
現状では議員に定年制度はなし
地方議会や国会において定年制度は現状存在しません。定年制に関する議論はさまざまあるようですが、党の内規があるものの、一律に定められた年齢のルールはありません。 また議員報酬については自治体によって大きな幅がありますが、平均的な報酬額は年金受給者の平均受取額より高い傾向にあります。 出典 総務省 地方議会・議員のあり方に関する研究会(第4回) 資料4-1 「地方議会について(関係資料集1)<多様な地方議会と議員のなり手不足の状況>( 9ページ) 全国市議会議長会 市議会議員報酬に関する調査結果(1、6ページ) 執筆者:FINANCIAL FIELD編集部 ファイナンシャルプランナー
ファイナンシャルフィールド編集部