いいかげんにして!【自由すぎる夫】のバスルームでの奇妙な習慣とは? それでも、お互い「自立」していると思っていたのは錯覚だった
「え、オトナですよね?」 夫、休日は幼児に変貌
その後、夫の「自由人ぶり」はエスカレートしていきます。結婚当初は連休などを使って、あちこちに旅行に出かけましたが、1~2年もすると一緒に出かけるのは「パチンコ」か「おねだり」だけになりました。 パチンコは紗那絵さんではなく夫の趣味です。彼は給料が出ると「パチンコ通帳」に定額を入れて、残高が0になるまで遊ぶ独自ルール。翌月に繰り越す(黒字)ことはほとんどありませんでした。勝ち負けは関係なく、楽しければよかったようです。たまに付き合いで打った紗那絵さんのほうが勝っても、気にしていなかったとか。 「おねだり」とは、お店で気にいったものを見つけると、何度も紗那絵さんを連れて行き、「買っていいよ」というまで「ねぇねぇ?これいいでしょ?」「ね?いいよね~~??」といい続けるというもの。 親が買うというまで駄々をこね続ける幼児のようでした。紗那絵さんいわく「彼は自由人だけど気は小さいので、勝手に買うことはできなかった」のだそう。 おねだりするのは、夫がコレクションしている食器やアンティークの家具など、安いものではありません。物欲のない紗那絵さんは夫の物欲を理解できませんでしたが、「買いたければ勝手にすれば?」と考えていました。
夫を酒の席のネタに笑う余裕があったけど……
お酒も食べることも大好きな紗那絵さんは、飲食にお金をかけたいタイプ。家での食事にもこだわりがあります。一方、食器好きで酒器を集めていても酒は飲まず、飲食そのものへの興味が薄い夫。 そもそも価値観が合わず、なぜ結婚したのかも不思議です。紗那絵さんによれば「あまり干渉し合わないので、ケンカにもならず、不満はなかった」といいます。有能な彼は同世代の男性より給料も高く、パチンコや買い物も収入の範囲内でのことだったため、彼の好きにすればいいと考えていました。 むしろ自分とはまったく違う夫をおもしろがる余裕もあったのだとか。「飲み仲間に『ちょっと聞いてよ!』と話すネタには困りませんでした」と紗那絵さん。 2人の共通の趣味は旅行ですが、趣味が違うので旅先では別行動。新婚旅行で訪れたヨーロッパでも、夫は買い物に精を出し、紗那絵さんはミュージカルや美術館をはしごしました。休日もたまのパチンコとおねだり以外は、ほとんど別行動だったといいます。 しかし、そうした「自立した夫婦関係」(紗那絵さん談)には、どこかにひずみがあったのでしょう。あるできごとをきっかけに、もろくも崩れ去ることとなります。 【前編】では、にわかに信じがたい生活習慣をかたくなに守りつつ、自由すぎる子どものような夫の生態についてお伺いしました。 ▶つづきの【後編】では、お互い干渉しすぎず平穏だと思っていた夫婦関係に亀裂が入っていく事態になった出来事、それを機に仕事への向き合い方を変えた、というお話を聞かせていただきます。
イラストレーター・コラムニスト・漫画家 陽菜ひよ子