男子バレー日本代表、大塚達宣が新天地ミラノで奮闘!自身初の海外生活に言葉の壁も「なんか分からんのきついなあ、と思う時もあります」
勝利に喜びいっぱいの大塚だったが、初日のインタビューでは、人生初の海外生活の苦労を明かしていた。とりわけ苦戦しているのは言葉の壁だという。「この1か月、これできるようになった、これ分かったとか通じたとか色んな嬉しさがある反面、なかなか一人で生活するのに慣れなかったりとか。自分が伝えたいことを伝えられない。大雑把には伝えられても細かくは伝えられない。もどかしさは仕方がないって分かっていて、それでもめげずに勉強は毎日コツコツ同じペースでやれてるんですけど、情けないことじゃないのに夜になったら『なんか分からんのきついなあ』と思ったりする時もあります」 さらに、経験ゼロの自炊生活。「昼はチームのレストランで、朝と夜は自分で作っているんですけど自炊することも初めてで。料理するのもそんなに好きじゃなくて時間と手間かけたくないタイプなんで」と聞き、思わず“イシカワモード”が最適と勧めると、「そうなんですよ。だから毎日ほぼ同じメニューで」と苦笑した。 そんな中、「石川さんがいてくれたおかげでミラノは日本人に対して良いイメージを持ってくれていて、環境としてはもう本当にありがたいです。僕から積極的にと思ってるんですけど、チームメイトの方から来てくれるので」 それでも、「この1週間が一番きつかった」と本音をチラリ。今大会で石川と再会できたことで、「嬉しかったです。自分の中でちょっとホッとしました。会えてめちゃくちゃ元気をもらえました」と安堵した表情を浮かべ、苦労を聞いて頭にちらついた心配を吹き飛ばしてくれた。 パリ五輪で、その献身的かつ勇敢なパフォーマンスが幾度も日本代表を救い、エネルギーをもたらしたことを覚えている方は多いはずだ。チーム内でも勝負が存在するスポーツの世界。砂を噛むような思いをコントロールしながらリザーブとして役目を全うし続けることは、並の努力ではなし得ないだろう。23歳の若者がそれをやり切った拠り所は何かと問うと、「コツコツやるだけなんで。プレーのことをどうこううまくやろうより、出た時に良いエネルギーをチームメイトに与えてコートの雰囲気を、流れを少しでも変えようってことだけ考えるのが一番良いと気づいたんです。その形としてオリンピックの時は良いパフォーマンスが出せたと思います」 そして、こう続けた。「でも、それで満足しているつもりはなくて、代表でもクラブシーズンでも向上したい気持ちが強い。自分に満足していないのは、年々と強くなってきています。だからこそ今、『自分も』という思いで勝負します。本当にいい選手がたくさんいるので色々盗みながら、教えてもらいながら自分からもどんどん積極的にアドバイスを聞きに行って、それが言葉の勉強にもなる。日本やったら簡単にできるかもしれないけど難しい中でもやっています。自分のために」 言葉を尽くして熱く語る真っ直ぐな人柄に、イタリアで応援したい選手がまた一人増えた。かつて石川の獲得に尽力したミラノのスポーツディレクター、ファヴィオ・リーニ氏に大塚のことを尋ねると、「私が将来性抜群の選手を見つけるのを得意なことは知っているだろ?」と成長に太鼓判。シーズン中、是非また足を運んでその現在地を取材したい。 取材・文●佳子S・バディアーリ
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