日本作品のアカデミー賞も 映画評論家が語る2024年注目の映画
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2024年を迎え、映画界ではゴールデングローブ賞やアカデミー賞など注目の賞レースが続々と開催されます。賞レースの行方はどうなるのか、2024年の注目すべき作品は、そしてこの正月休みに必見の映画は何なのか、ゴールデングローブ賞の投票権を持つ映画評論家の松崎健夫さんに話を聞きました。 【画像】映画評論家・松崎健夫さんが語る映画『スーパーマリオ』ヒットの理由
■正月オススメの映画① 歴史上の人物を意外な切り口で描く超大作
この正月休みにオススメの映画として松崎さんが最初にあげたのは、『ブレードランナー』や『グラディエーター』で知られる巨匠・リドリー・スコット監督の最新作『ナポレオン』。フランスの皇帝ナポレオン・ボナパルトが妻・ジョゼフィーヌとの奇妙な愛憎関係の中で、次々と戦争を仕掛けながら皇帝に上りつめていく物語です。 松崎:人海戦術のすごさ、戦闘シーンでのエキストラが何千人といるわけです。それを当時の衣装でやっているという画(え)のすごさが、最近の映画ではやっぱり見たことがない。 また、ナポレオンについて描いた映画は数限りなくあるんですけど、実は妻のジョゼフィーヌを描いた映画というのは少なくて、今回合戦シーンもすごいんですけど、“ナポレオンとジョゼフィーヌ”というタイトルにしたいぐらい夫婦の話になっているのが、僕はすごくいいなと思いました。2時間半全部を戦闘シーンにしてもいいようなものを、主軸を夫婦の話にして、ドラマとして見やすくなっているっていうところも含めてオススメです。
■正月オススメの映画② 役所広司さんの演技に注目
正月休みにオススメの映画として、松崎さんが次に挙げたのは映画『PERFECT DAYS』。東京・渋谷で働くトイレの清掃員の日常を描いた物語で、主演の役所広司さんは、この映画で第76回カンヌ国際映画祭の最優秀男優賞を受賞しました。 松崎:トイレはもちろん題材のひとつですが、東京の片隅で地道に生きている役所広司さん演じる男性の生活を描くことに特化した映画になっている。 役所さんが、派手な演技とかいわゆる熱演といわれるような熱い演技をしているんじゃなくて、淡々と毎日過ごしていることを静かに演じている。だけど、その内側にある葛藤みたいなものを見いだして、毎日が同じで穏やかに過ごしているように見えるけどそうじゃないということを、セリフでも言わない、表情にも表さないけど、そのことが表れているっていうところの演技のすごさ。それをカンヌの審査員たちは評価したんだと思う。