日本作品のアカデミー賞も 映画評論家が語る2024年注目の映画
■賞レース注目作は大ヒットした日本アニメ
年明けからは、ゴールデングローブ賞やアカデミー賞をはじめとした注目の賞レースが開催されます。松崎さんに賞レースの注目作を聞くと、ゴールデングローブ賞にもノミネートされている2本の日本映画を挙げました。 松崎:今年は『すずめの戸締まり』(新海誠監督)と『君たちはどう生きるか』(宮﨑駿監督)。どちらもアメリカで公開されている。去年、例えばゴールデングローブ賞では『犬王』が(ノミネートに)入っていたんですよね。アカデミー賞はちょっと入ってなかったんですけど、ああいう形で日本のアニメが候補になり得る気がしていて、宮﨑監督の作品は、過去に『千と千尋の神隠し』が長編アニメ映画賞を取っていますから、それはちょっと期待していいんじゃないかなという気がします。
■2024年の映画界はどうなる
2023年は、ハリウッドスターたちが加盟する映画俳優組合が、待遇改善やAI=人工知能の映画製作への活用の制限などを求めストライキを敢行。7月から11月まで撮影や宣伝活動がストップする事態となりました。2024年の映画界にその影響は現れてくるのでしょうか。 松崎:ストライキの期間、ハリウッドでは全く映画が作られなかったわけで、2023年は影響はないんですけど、完成してなかった映画がそのまま止まっちゃったということだったり、撮影するはずだった映画が止まっちゃったことの影響は、2024年からぼちぼち、2025年には出てくると思うんですよ。ハリウッド映画で公開するものがないということになりうると思う。 ただ、僕が個人的に思うことは、ハリウッドの映画はないかもしれないけど、映画は世界中で作られている。たとえば日本でこういう映画があるから、これをやろうと言って、アメリカの観客にとっては、外国の映画を見るチャンスになるんじゃないか。我々にとってもアメリカに売り込むチャンスになる気がするんです。日本のドラマでも配信で世界中で見られていることがあるじゃないですか。以前に比べると、だいぶ垣根は低くなっていて、もちろん向こうで成功させるのは難しいけれども、僕はチャンスのような気がするんですよね。