日本作品のアカデミー賞も 映画評論家が語る2024年注目の映画
■松崎さんが選ぶ2024年注目の映画は “原爆の父”描く話題作
そして、2024年の注目映画として松崎さんが挙げたのは、『ダークナイト』や『インセプション』などで知られるクリストファー・ノーラン監督の映画『オッペンハイマー』です。“原爆の父”と呼ばれた物理学者、ロバート・オッペンハイマーの知られざる人生が描かれていて、米・ゴールデングローブ賞では作品賞を含む8部門にノミネートされるなど話題を集めています。 アメリカで公開された際は同時期に公開していた映画『バービー』とともに大ヒットを記録。2作品を続けて鑑賞する“バーベンハイマー”という造語が生まれ、バービーと原爆投下を連想させる、2つの世界観を掛け合わせたファンアートが次々と誕生したことで、日本では物議を醸しました。すでに世界中で公開されている本作ですが、日本では2024年に公開することが発表されていて、配給会社のビターズ・エンドは「本作が扱う題材が、私たち日本人にとって非常に重要かつ特別な意味を持つものであるため、さまざまな議論と検討の末、日本公開を決定いたしました」とコメントしています。 松崎:オッペンハイマーどうなのかなっていうのがやっぱり一番気になるところで、(注:取材日時点では公開未定)日本では公開されていないから、「韓国に見に行きました」「オーストラリアのIMAXで見ました」とか、みんなも外国に行って見に行っている。そこまでして見たいと思っているけど、日本でやってこなかったという状況があった。 (劇中では)彼が原爆を作ったことで苦悩したり、水爆の実験に反対したりということがちゃんと描かれている。しかもその当時、アメリカでは赤狩りが横行するようになっていて、共産主義者のシンパだっていうことを理由に、オッペンハイマーが排斥されていくことが描かれている。今の時代にもつながるような、その人の背景を理由に排斥していくということのメタファーのような映画。見ていないのに批判をするのではなくて、見てからやっぱ議論することの方が重要だと思うので、できればIMAXで撮影した作品なので、IMAXで上映してほしいなっていうのが希望ですね。