Windows 10に個人向けESU、30ドルで1年間「延命」可能に - 阿久津良和のWindows Weekly Report
Windows 10以前のPCからWindows 11へ移行するのは難しい。というのもWindows 11のハードウェア要件が厳しいからだ。そのため、今この瞬間も2025年10月14日にサポート終了を迎えるWindows 10を使い続けている個人・法人ユーザーは少なくないという。 さまざまな理由でサポートが終わったWindowsを“使わなければならない”ユーザーに向け、Microsoftは延命策を有料で提供している。それがESU(拡張セキュリティ更新プログラム)だ。 法人向けのWindows 10 ESUは2024年4月の時点で、1年目61ドルという価格をMicrosoftが発表済みだが、米国時間2024年10月31日、改めて個人向けESUの提供が発表された。
Microsoft EVP, Consumer Chief Marketing Officerを務めるYusuf Mehdi(ユセフ・メディ)氏によれば、1年間30ドルで初めて消費者向けESUを提供するという。国内の提供価格は日本マイクロソフトの発表を待つしかないが、Windows 11へ移行しあぐねているWindows 10ユーザーには朗報だ。 まずは約4,590円(1ドル約153円換算)を支払えば、2026年10月までWindows 10を使い続けられる。ただ、前述した法人向けESUは2年目122ドル、3年目244ドルと倍増する形だ。同じように個人向けESUにも倍増価格を適用して2年目以降も提供するかといえば、状況しだいといわざるを得ない。 Windows 11 バージョン22H2は2024年10月8日、バージョン23H2は2025年11月11日、バージョン24H2は2026年10月13日と、機能更新プログラム提供後の2年間がサポート期間となる。 そもそもWindows 11が登場したのは2021年10月。すでに3年目に突入した。Microsoftは以前と異なり、モダン ライフサイクルポリシーに沿って製品サポートを行っているが、新機能・バグフィックスは最初の5年、セキュリティ更新プログラムのみの提供は後の5年になるのは変わりないだろう。バージョン24H2の安定性については首をかしげる場面も少なくないが、数カ月後には問題なく使えるOSになるはずだ。 ESUはあくまでも次のOS/アプリへの移行施策であるため、Windows 11を推進したいMicrosoftの意向を鑑みれば、2年目以降の提供は行わないと愚察できる。Windows 11のリリース&更新タイミングと、個人向けESU適用環境を加味しても、2026年はWindows 11への移行を本格的に検討しなければならないだろう。 ただし、お使いのWindows 10 PCの構成によってはWindows 11のシステム要件に合わず、同一のPCでアップデートできない場合は、新たなPCを購入するしかない。かれこれ40年以上、PCを使い続けてきたが、個人用のWindows 11移行は極めて難しく感じる。どうしても現在のWindows 10 PCを使い続けたい場合は個人向けESUを購入して、動向を注視するのが得策だ。 ■ 著者 : 阿久津良和 あくつよしかず 1972年生まれのITライター。PC総合誌やDOS/V専門誌、Windows専門誌など、各PC雑誌の編集部員を経たのちに独立。WindowsとLinuxをこよなく愛しつつ、PC関連の著書を多数手がける。近年はBtoCにとどまらず、BtoBソリューションの取材やインタビューが主戦場。休肝日を設けず日々飲み続けてきたが、γ-GTP値が急激に増加し、早急な対応を求められている。
阿久津良和