<春はばたく>第93回センバツ注目校紹介/8止 宮崎商(宮崎) 自主練習で意識向上
宮崎市中心部を流れる大淀川沿いに位置する宮崎商。グラウンドが見渡せる川の土手では、週末を中心に近所の住民らが選手たちの練習を見守る。甲子園は夏は2008年までに4回出場したが、春は1969年以降遠ざかってきた。今回が52年ぶりのセンバツで、出場校の中で最長ブランクだ。古豪復活へ地元の期待は高く、宮崎商OBでもある橋口光朗監督(32)は「背負っているものは大きい。それを結果に変えたい」と意気込む。 昨秋の九州大会は2年夏から主力として戦ったメンバーが中心となり、投打がかみ合い4強入りした。正月休みを終え、練習に取り組もうとした1月初旬、宮崎県内でも新型コロナウイルス感染拡大を受けて県独自の緊急事態宣言が発令された。学校は一時休校となり、再開後も部活動は禁止され、2週間以上全体練習ができなかった。 選手たちはこの間、各自で目標を設定し自主練習を積んだ。エース右腕の日高大空(2年)は球速の向上と変化球のキレを目指し、下半身と握力を強化。中軸の西原太一(2年)は1日1000スイング以上振り込んだ。 主将の中村碧人(2年)は「足が速くなりたい」と目標を決め、連日坂道ダッシュを繰り返した。中村は「まだ(足は)速くなってはいない」と笑うが、「目標を持って練習に取り組めたことが良かった」と振り返る。橋口監督は「部活動が再開すると、楽しそうに練習していた。休止を経て、野球への意識が上がった」と選手たちの成長を語る。 プロ野球・広島などで活躍した水谷実雄を擁して夏は64年にベスト4入りしたが、過去2度のセンバツではいずれも初戦敗退。センバツ初勝利はもちろん、選手たちは「目標は優勝」(中村)とさらなる高みを目指す。コロナ下の自主トレーニングで鍛えた「個の力」を甲子園の舞台で結集させ、全国の強豪に立ち向かう決意だ。【黒澤敬太郎】=おわり