「国立女性教育会館の存続を!」 埼玉・嵐山町で100人会議
埼玉県比企郡嵐山町にある国立女性教育会館(NWEC、以下、ヌエック)は男女共同参画をテーマとする国内唯一のナショナルセンター。緑と水辺が豊かな環境に恵まれ、宿泊棟を備えた研修施設として、1977年に開設された。 ジェンダーに関連する活動や研究の貴重な図書資料を約14万点所蔵し、「宿泊できる専門図書館」として、第21回図書館総合展・運営委員会特別賞を受賞。主催する「男女共同参画推進フォーラム」には、毎回、全国からジェンダー平等を進めるさまざまな団体が集い、課題や成果を共有する場となっている。 ところが2023年末に、管轄する文部科学省と内閣府が25年3月までにヌエックを嵐山町から移転させようとしていることが明らかになった。利用者や関係者は驚愕し、現在の施設の存続を求める有志が会を立ち上げ、24年1月から署名活動や国との懇談などを行なってきた。7月13日にヌエックで開催された100人会議「ジェンダー平等ってな~に?」も、ジェンダーの問題にかかわる人々の拠り所として、ヌエックの存在意義を見える化する取り組みだ。 小学生からシニアまで幅広い参加者が語り合い、「『男らしさ』にしばられる不自由さから抜け出しましょう」「女性と若者を政治の場に!」「ジェンダー平等の実現は年長者から」などの発表に拍手が湧いた。 「国立女性教育会館を存続する会」(以下、存続する会)の渋谷登美子さん(嵐山町議)、末吉美帆子さん(所沢市議)は「いろんな方の生の声を聞けて、勇気をもらった。ヌエック存続を求める運動に活かしたい」と力を込めた。 移転の話は、開設以来40年以上にわたってヌエックを抱える嵐山町にとっても、青天の霹靂だ。100人会議の冒頭、佐久間孝光・嵐山町長は「23年11月29日に、ヌエックを移転、あるいは譲渡するという文言をいきなり突きつけられた。このまま黙って、はいそうですか、と言うわけにはいかない」と訴えた。嵐山町議会から国へ意見書を上げ、埼玉県議会からは全会一致で国立女性教育会館を嵐山町に残すべき、という国への要望書を採択するなど、自治体としても動いている。