石破政権は「防衛増税」に踏み切るのか 産経新聞の「加熱式たばこ先行」報道で波紋 国民直撃、消費増税4%分の打撃!?
新田哲史氏が緊急寄稿 石破茂首相は先月末の所信表明演説で、「年収103万円の壁」引き上げには言及したが、防衛力強化のための増税(防衛増税)時期には触れなかった。こうしたなか、産経新聞は6日朝刊で、政府・与党が「加熱式たばこについて、2026年度の先行増税を検討している」と報じた。減税論議が盛り上がるなか、国民生活を直撃する増税も進めるのか。報道アナリストの新田哲史氏が緊急寄稿した。 【表でみる】タバコ増税の想定スケジュール ◇ 来年度の税制改正を決める政府・与党の税制調査会(税調)シーズン真っ盛りだ。筆者が夕刊フジでも何度か取り上げてきた「防衛増税問題」は、今回が見直しのラストチャンスであるが、ここまでは「103万円の壁」問題の陰に隠れがちだった。 防衛増税の対象は、法人、所得、たばこの3税。27年度時点で1兆円強を確保する方針で、増税の開始時期が焦点になっている。 増税反対派の間で「注目度が低いうちにシレッと増税が決まるのでは」(たばこメーカー関係者)との観測が上がるなか、朝日新聞は5日朝刊で、与党の26年度からの防衛増税実施方針を伝えた。さらに、産経新聞が冒頭の「加熱式たばこの先行増税」検討の動きを伝え、波紋は広がる。 ここでカギになるのは「103万円の壁」突破の立役者である国民民主党である。 玉木雄一郎代表(役職停止中)は先月中旬、筆者の取材に対し、「1兆円の増税がなくても必要な防衛力は拡充できる」と述べ、外為特会(外国為替資金特別会計)などの活用を訴えた。その後も、玉木氏や榛葉賀津也幹事長が記者会見で防衛増税に言及する場面が増えている。 防衛増税が始まった場合、国民生活にどれだけのインパクトがあるのだろうか。 ここで紹介したいのが、駒沢大学の江口允崇、大阪大学の安田洋祐両教授らが、「ステルス増税の見える化」と題し、防衛増税をした場合の経済的な打撃を消費税率に換算したシミュレーションだ。筆者が、玉木氏を取材した際も引用した。 これによると、中間層や低所得層に対する負担感が大きく、年収200万円未満の喫煙者の場合、税率にして紙巻きたばこなら約2・4%、加熱式たばこなら約4%相当の打撃となるという。4%は歴代の消費増税の引き上げ幅で最多の3%を超える。