プジョーe-3008 詳細データテスト 快適で取り回し良好 効率はクラス平均並み 走りは物足りず
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
これまでの経験に基づけば、快適性や静粛性こそe-3008が得点を稼ぐ分野だと予想するだろう。そして、それは正しい。 洗練性に影響を与えがちなオールシーズンタイヤを履いていてさえ、80km/hでの室内騒音は、モデルYやアイオニック5、シングルモーターのポールスター2といった主なライバルより静かだ。また、フロントシートはすばらしく快適で調整が効き、しかも包み込まれるような雰囲気が心地いい。 標準装備の19インチホイールでは、荒れた路面でも静粛性に優れ、かなりのしなやかさをみせる。柔らかいフィールが不足するのは、きつめのエッジを超えるときくらいだ。コーナリング時にややロールする傾向は、抑えが効いていない上下方向の波打や凹凸での連続的なピッチへはつながらない。そのため、おおむねふわついた感じのない追従性をみせる。 もし、フランス車的な穏やかさや上質感、上品さを期待するなら、失望させられることはないだろう。その優れた快適性に加え、全方位的に問題のない視認性も備え、しかもADASが過剰に介入することはない。
購入と維持 ★★★★★★★☆☆☆
パッと見では、ルノーやヒョンデ、スコダやキアといった大衆車クラスに属するものより高級そうに思える。しかし、装備内容を詳しく見ていくと、なかなかお得感がある。買いグレードのアリュールでも、ワイドディスプレイや純正ナビ、11kWの三相充電器などが標準装備だ。 急速充電性能は既存の自社製EVから変わったとプジョーは主張するが、われわれのテストでは目覚ましい結果を残すことができなかった。充電開始はクイックで、バッテリー容量のうち最初の1/3くらいは150kWを記録するが、その後は明らかに遅くなり、主なライバルと比べて低めの送電スピードで終わった。 テスト結果から見ると、英国の高速道路では航続距離が390km弱となる計算。ロングレンジモデルも準備中だが、やや物足りない数字だ。
レイアウト
プラットフォームはステランティスの新しいSTLAミディアムだが、プジョーの従来の小型EVと同じFFレイアウト。駆動用バッテリーはキャビン床下に配置し、実用容量は73kWhと98kWhの2種類だ。 サスペンションは四輪独立で、スプリングはコイル。テスト車の前後重量配分は、実測で54:46だった。