日本の大動脈「東海道新幹線」激甚化する大雨で度重なる運休も 雨にナゼ弱い?
■2003年までに盛り土を強化
弱点ともいえる“盛り土”、JR東海は国鉄時代から盛り土対策を進めてきました。 例えば、盛り土に雨水が入ることを防ぐため、盛り土のり面をコンクリートで覆う対策を行っています。さらに線路部分を覆っているのが砂利のため、線路上からも雨水がしみ込むことから盛り土の中にパイプを差し込み、しみ込んだ雨水を外に出す排水機能の強化も進めてきました。 こうした一連の対策工事は2003年までに完了していて、これにより雨の規制値は、国鉄時代の1時間あたり40mmから、1時間あたり60mmに引き上げられ現在に至っています。 JR東海は、近年の激甚化する気象に対応できるよう、「今後も新たな知見や研究結果を踏まえて、さらに安全性を向上し、最適な運転規制につなげていく」としています。
■“盛り土”は雪対策にも影響?
例年よりも雪が多くなっている、この冬。東海道新幹線は雪とも戦ってきました。滋賀県の米原、関ケ原地区です。山に挟まれ雪雲が発達する、この区間は冬の期間、大雪の影響を受けます。このエリアでは始発直前まで専用の車両で除雪を行い、運転に支障が出ないように対策を進めていますが、高速走行する新幹線ゆえの雪の悩みもあります。 雪が積もった線路上を高速の新幹線が通過すると、雪が舞い上がり車両の下に雪が付着するそうです。その雪が塊となり、走行中に線路に落ちると線路上の設備などが損傷してしまうことがあります。 これを防ぐため、上越新幹線や東北新幹線など豪雪地帯を走る新幹線を抱えるJR東日本では、線路上にスプリンクラーを設置。スプリンクラーから温水を大量にまいて雪を溶かすため、速度規制をほとんどすることなく通常通りの運行ができているということです。 JR東海でもスプリンクラーを設置していますが、東北や上越新幹線ほど大量に温水をまくことはできません。「盛り土」の問題です。JR東日本の新幹線は、その多くの土台がコンクリートですが、東海道新幹線は盛り土に大量の水をまくと盛り土が緩んでしまうため、そうはいきません。そのため、影響がない程度の水をまき、湿った「濡れ雪」にして、雪が舞い上がることを防いでいるということです。ただ線路上に雪は残ってしまうため、積もった量などによっては、速度を落として運行する、徐行運転をおこなうためダイヤが乱れることがあります。