動き出した日中関係は国民感情の改善に繋がるか…在中国日本大使館の金杉憲治特命全権大使に聞いた「2024年の中国」
早期の釈放を求めていく
ーー反スパイ法によって日本人のビジネスパーソンは常に不安を抱えています。アステラス製薬の日本人男性は2023年3月に拘束され、今も拘束は続いています。大使は自ら領事面会にも行っていますが、現在の状況と男性の解放に向けた対応について聞かせて下さい。 反スパイ法に基づく邦人拘束については大変無念なことであります。在留邦人の方や中国を訪問するビジネスパーソンが不安を感じるのは当然のことだと思います。また、拘束されている邦人の方については今後も領事面会という形で支援をし、引き続き早期の釈放を求めていきます。そして中国の司法プロセスの透明性の確保ということについて継続的に中国側に求めながら、状況が改善できるように最大限努力したいと思います。 ーー福島第一原発の処理水の海洋放出をめぐり、日本産水産物の輸入再開については今後どの時期に再開されると考えますか? 日本産水産物の輸入再開のタイミングについては様々な報道がありますが、今現在何か時間軸が決まっているということではありません。ただ、日中の共通認識を踏まえて、出来るだけ早いタイミングで輸入再開に繋げていくということを中国側には求めていきたいと思っています。 ーー12月に発表された日中共同の世論調査では日中双方とも9割近くの人が互いの国に良い印象を持ってないという結果がありました。お互いの国の印象を良くするには日中間で何が必要と考えますか? 日本に行った経験がある中国人は総じて日本に良い印象を持っていると思います。同時に中国に来たことがある日本人は中国の現状を良く理解していると思います。国民感情の改善に特効薬や万能薬はありません。まずはお互いの理解を深める意味での交流をしっかり再活性化していくということ、それから高いレベルでの交流を通じて、懸案事項や協力関係において具体的な成果をあげて日中関係が発展している中で恩恵を得る、そして、その恩恵を日本と中国の両国民が実感していくということが中長期的に見れば国民感情の改善に繋がるのではと思っていますし、またそういう期待も持っています。
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