完全な非核化へ具体策なし「世紀の会談」は失敗だったのか?
●拉致問題
日本の拉致問題については、トランプ大統領は今回の会談で金委員長に提起しましたが、結論は得られなかったようです。これも今後の協議の中でさらに話し合われることになりました。 米朝首脳会談に先立つ7日、安倍首相はトランプ大統領との会談後の記者会見で「拉致問題を早期に解決するため、私は北朝鮮と直接向き合い、話し合いたい。あらゆる手段を尽くしていく決意だ」と発言しました。いままで「圧力」一辺倒であったが、今般このような姿勢を打ち出したことは評価できます。 今後、日本政府は安倍首相の発言通り、北朝鮮と話し合い、あらゆる手段を講じて解決を図るべきです。北朝鮮は、拉致問題は解決済みと主張しており、ストックホルムで合意された特別調査はすでに完了したとの立場です。一方、日本政府は、調査が続けられるものとの認識です。この矛盾を解消することがまず必要です。
---------------------------- ■美根慶樹(みね・よしき) 平和外交研究所代表。1968年外務省入省。中国関係、北朝鮮関係、国連、軍縮などの分野が多く、在ユーゴスラビア連邦大使、地球環境問題担当大使、アフガニスタン支援担当大使、軍縮代表部大使、日朝国交正常化交渉日本政府代表などを務めた。2009年退官。2014年までキヤノングローバル戦略研究所研究主幹